複数のデリバリー配達員から、「配送料はデリバリプラットフォームが決めている。値上がりはしたが、配達員の収入は増えていない。決まった分しかもらえない」といった声が聞こえる。
北京市豊台区で営業する業者のオーナーは、「今、配送料はお客様と店側で負担しており、金額はプラットフォームが決める。一定額で割引きサービスは本部が決めるもので、今は25元買うと18元割引き、49元買うと21元割引きだ。手数料はプラットフォームが不定期に値上げする」と述べた。
同オーナーは続けて、「今はデリバリーをやっても基本的に利益が上がらない。コストは上昇したが、うちの店のメニューは値上げしていない。うちの商品の価値がどれくらいか、自分でよくわかっているからだ」と述べた。
▽プラットフォームが手数料を値上げした理由
EC研究センターの生活サービスECアナリストの陳礼騰さんは、「ユーザーはプラットフォームの補助金から大きなメリットを享受してきたが、プラットフォームは生き残るために、『造血機能』を高める必要に迫られ、手数料を引き上げた」と説明した。
2003年に始まったオンラインデリバリーは、モバイルインターネットのオンラインツーオフラインの大きな流れの中で爆発的な成長を遂げた。各プラットフォームが市場を奪い合い、資金に糸目をつけない補助金による低価格販売促進戦略を次々に打ち出し、大勢の店舗と消費者を呼び込んでいる。
資本が参入し、天井知らずの補助金に支えられる中、デリバリー産業はわずか数年で群雄割拠の時代から両雄並び立つ時代へと移り変わった。
17年8月には、オンラインフードデリバリープラットフォーム「Eleme」が「百度外売」を買収して三国鼎立の時代が終わり、「美団網」とElemaの二強時代に突入した。DCCIインターネットデータセンターの最新の報告書では、美団のデリバリー市場シェアは64.1%、Elemaは33.7%という。
プラットフォームは補助金を出しすぎて、運営コストが上昇し、収益をかなり圧迫するようになった。美団の決算をみると、18年の営業収入は652億3千万元で同92.3%増加したが、損失は1154億9千万元で上場以来の最高を更新した。
ウォッチャーによると、「デリバリー産業は下り坂にさしかかり、フローの回収期に入った。拡大を続ける損失、厳しさを増す市場に直面して、プラットフォームの発展の目標が市場を奪うことから利益を上げることへと変わってきた」という。
美団点評研究院がまとめた報告は、「14年に成長率がピークに達した後、15年から18年にかけてのデリバリー市場は規模もユーザー数も年平均成長率が4年連続で低下した。市場成長率は14年の71%が18%に、ユーザー増加率は51%が15%に低下した」と伝えた。
▽金は払うべき人間が払う
調査でわかったことは、一連の有名レストランや外食チェーンは安定した顧客層を抱えており、市場での価格決定力が高いということだ。プラットフォームの手数料が値上がりしても、こうした店はメニューの価格を引き上げる、一定額で割引きサービスを縮小する、自前でデリバリーサービスを展開するなどの対応を取ることができる。
だが、現実を見ると、デリバリーの注文が中心の多くの小規模業者は、価格決定力が低く、プラットフォームの手数料が上がってもどうすることもできない。顧客は不安定で、軽々しく値上げに踏み切ることはできず、料理を「割引き」するか、いっそ店を閉めるしかない。
陳さんは、「業者はコスト割れを防ぐため、料理の分量を減らしたり、価格を引き上げたり、容器代を徴収したりして支出を抑えようとしているが、こうしたコストの一部は最終的に消費者がかぶることになる」と指摘した。(編集KS)
「人民網日本語版」2019年3月27日