中国への野心を捨てがたい任天堂 ゲームソフトは中国語対応に

人民網日本語版 2019年03月22日14:07

ゲーム界の一大イベントがこのほど行われた。3月21日早朝、任天堂は米国でインディータイトルを紹介する「ニンテンドーショーケーススプリング2019」を開催し、これから発売するニンテンドースイッチのゲームソフトを発表した。注目されるのは、これまでずっと中国市場に「冷淡」な態度を取ってきた任天堂が、新発売ソフトはほとんど中国語対応になったと明かしたことだ。今年1月29日より、ニンテンドースイッチは言語設定で中国語をサポートする。任天堂は2年の歳月を経て、中国市場で捲土重来の様子を見せているようだ。「北京商報」が伝えた。

任天堂が発表したゲームソフトのリストをみると、ほぼ毎月1本が発売される予定で、「カップヘッド」、「マイフレンドペドロ」、「ストレンジャー・シングス3」、「クリプト・オブ・ネクロダンサー」と「ゼルダの伝説」のコラボレーション新作「ケイデンス・オブ・ハイラル:クリプト・オブ・ネクロダンサーfeat.ゼルダの伝説」などがある。またこれまでに発表されたニンテンドースイッチのゲームのうち、すでに160本以上が中国語をサポートするとしている。

実は任天堂は2017年にも中国市場をねらい、公式ユーチューブサイト「CHT Nintendo」を通じてスイッチ用ゲームのPR動画「中華圏用遊戯陣容影片2017」を発表している。同年には騰訊(テンセント)のゲーム「王者栄耀」の海外版「アリーナオブヴァラー」がスイッチで遊べるようになった。騰訊が任天堂と提携し、スイッチを中国大陸部市場に導入するといううわさもあったが、これは後に騰訊のネットワークプラットフォーム「騰訊遊戯」でデマとして打ち消されている。その後、中国市場で何度か奇策を打ち出したものの、任天堂の中国市場開拓は鳴かず飛ばずの状態に陥っていた。

それから2年の歳月を経て、任天堂に新しい動きがあった。18年末、新たに就任した古川俊太郎社長が海外市場の開拓に関して、「遠くない将来、アジアで成長を遂げ、中国市場で自分たちへの挑戦を行う」と述べたのだ。古川社長は中国だけを特に取り上げたので、中国での展開を進めるのではないかと外部の憶測を呼んだ。ベテランゲーマーの李鵬さんは、「これまでは海賊版や政策による制限などの原因のため、スイッチはずっと中国モデルを打ち出せずにいた。また他国に比べ、中国はゲーム機ゲーマーの規模が小さいことも、任天堂が中国市場に対してつかず離れずだった原因だ。しかしここ数年の任天堂からはっきり感じられるのは、中国市場をより重視するようになったことだ。そして最もわかりやすい例として、これまでは繁体字の中国語しかサポートしていなかったのが、今では簡体字の中国語がまもなく出てくるようになったことが挙げられる」と話す。

▽前後に敵で局面打開をはかる

3月19日夜、米国のインターネット科学技術大手グーグルが、クラウドコンピューティング技術に基づくストリーミング型ゲームサービス「スタディア」を打ち出すことを発表し、1800億ドル(約19兆9332億円)規模のゲーム産業への進出を明らかにした。

市場では、グーグルの強大なストリーミング事業によりゲーマーは特別なハードウェアをそろえなくてもネットで快適にゲームができるようになり、実体あるゲーム機事業を中心とする任天堂にとって、かつてない打撃であることは間違いないという見方が一般的だ。実際、20日の株式市場が取引を開始すると、任天堂の株価は4.5%値下がりし、終値は18年の最高値に比べて累計39%値下がりした。

今年2月、任天堂は3月末までの18年度のゲーム機販売量予想を2千万台から1700万台に引き下げ調整した。アナリストは、「グーグルがスタディアを発表したので、任天堂の販売量はおそらくより大きな痛手を負うだろう」と予想する。

投資家にとって、グーグルの参入はかなり大きな危険のシグナルだといえる。長らく任天堂、ソニー、マイクロソフトの3社が主導してきた世界ゲーム界は、新たに登場したグーグルの勢いに対して新たな波を起こさずにはいられない。任天堂は新市場の開拓が急務だ。4億8千万人のゲーム人口を抱えた中国は、任天堂にとって愛憎半ばする選択肢になる。

以前の中国に比べて、今の中国は審査認可プロセスでも市場環境でもかなり透明性が増した。中国市場はネット大手数社がコントロールしており、モバイルインターネットとモバイルゲームの市場もますます拡大している。任天堂が「遠征」をやり遂げ、中国ゲーム市場に参入しようとしても、以前より簡単にいくとは限らない。(編集KS)

「人民網日本語版」2019年3月22日

  

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