データによると、2017年には中国の成人単身男性が2億2200万人に達し、総人口に占める割合は15%になった。このうち約半数が20〜29歳で、経済的理由で一人でいることを余儀なくされている人もいれば、主体的に一人を選択した人もいる。膨大な数の単身者は新たな消費トレンドといえる「おひとり様経済」を生み出している。「工人日報」が伝えた。
▽吹き荒れる「ミニ旋風」
天猫(Tmall)がまとめたランキング報告書によると、過去10年間には、日用消費財、家電製品、家具・インテリア製品から化粧品、スキンケア製品に至る日用品が、一斉にサイズが小さくなり、機能もますます細分化している。ミニ電子レンジの売り上げは970%増加し、ミニ洗濯機は630%増加し、1人用火鍋は200%増加した…。
いつ頃からか、家電や住宅、また消費財や化粧品、外食の市場に「ミニ旋風」が吹き荒れ、「お一人様経済」に照準が当てられ、単身者向けに開発された新製品が鳴り物入りで登場するようになった。市場に出回るセット商品をみると、これまでは「2つ目は半額」、「大勢いれば一人分は無料」だったが、今ではどこでも「おひとり様セット」を見かけるようになり、1人用カラオケボックスやバラエティ豊かな「単身者の必須アイテム」、「単身者向けセレクト」などのミニ商品もよく目にする。こうした変化には「おひとり様経済」の台頭が反映されている。
単身者層の一人暮らしが、インターネットや人工知能(AI)の発展を加速させている。ご飯を作りたくなければデリバリーサービスの配達員が運んでくれるのをじっと待っていればいいし、さらには寂しい時にはAIロボットが話し相手になってくれるという具合だ。消費の成長率が鈍化しつつある現在、単身者の消費と関わりのある個性化した消費、ニッチ化した消費、精密化した消費が、新しい消費の業態として次々に姿を現すようになった。
次のような見方もある。「単身者層は消費高度化の牽引の担い手であり、この流れは今後しばらく続くとみられる。ますます多くの新業態が出現し、急速に発展していることから、単身者が消費の新勢力として台頭する様子も浮き彫りになった。将来は単身者層がもたらす消費の規模がさらに増大し、単身者層は企業が力を入れる重点にもますますなっていく」。
▽「自分を喜ばせる」消費の下で「月光族」増加
単身者層は内需の拡大に寄与する大きなパワーであることは否定できないが、よいことばかりではなく、懸念材料もある。国金証券消費高度化・娯楽研究センターの調査研究によると、一線都市の単身の若者のうち、毎月の給料をその月にすべて使い果たす「月光族」は43%に上り、新一線都市では40%、三線・四線・五線都市では67%を超えたという。
ここから都市の等級が下がり、月収が少なくなるのと反比例して、「月光族」が大幅に増加する傾向がうかがえる。多くの単身者層が消費で一番重視することは、価格ではなく品質へと変わりつつあり、「自分への思いやり」という名目で自由な消費を追求するのが、多くの単身者層の日常になってきた。