中国第29次南極科学観測隊 一連の成果を総まとめ
中国第29次南極科学観測隊は9日、観測船「雪竜」に乗り、上海極地観測国内基地埠頭に無事帰還した。今回の観測において、南極科学観測隊は長城ステーション、中山ステーション、崑崙ステーション、雪竜で計53の科学観測および建設工事を完了し、各分野で大きな成果を手にした。人民日報が伝えた。
1.アイスドームA地区、氷床深層コアの掘削に成功
氷床コアは「古代の気候が記録された書物」、氷床深層コアは生きた化石と呼ばれ、太古の時代の気温・降水などの気候環境情報をとどめている。
今回の観測で、中国人科学者はアイスドームA地区で初めて3.83メートルの氷床深層コアを掘削し、100万年以上に渡る地球の気候・環境変化の情報を獲得した。
科学観測隊は計11.2メートル分の氷床深層コアを持ち帰った。中国は4年をかけて、計3000メートル以上の氷床深層コアを掘削し、100万年以上に渡る地球の気候・環境の変化に関する情報を取得する予定だ。
2.宇宙望遠鏡のデータを獲得
南極アイスドームA地区は、地球上で天文台による宇宙観測に最も適した場所だ。中国が独自に開発したAST3南極宇宙望遠鏡はここに設置され、南極で使用されている最大口径の光学宇宙望遠鏡となった。今回の科学観測期間に、隊員らは初めて宇宙望遠鏡の観測データ(昨年3月15日から5月8日にかけて撮影された約2万枚の写真)を獲得した。
3.風力ロボットが活躍
中国が独自に開発した初の風力ロボット「極地漫遊者」が、南極中山ステーション付近のアイスドームで、一歩目を踏み出した。
同ロボットは風力発電により昼夜を分かたず歩行し、50センチ以上の高さを持つ障害物を跨ぎ、アイスドームの複雑な地形でマルチセンサー融合の自主ナビゲーション抑制、および衛星リンクによるリモートセンシングを行うことが可能だ。同ロボットは、スマートロボットによる科学観測ステーションの当直に向けた基礎固めを行った。