創価大学を見学。■中国にも役立つ日本の経験
――帰国後、大学で教鞭をとる以外にどんな活動をなさっていますか。
国家人才誘致プロジェクトの一員として2004年1月1日に正式に帰国し、4月1日から北京工業大学で教え始めました。同大学は人的資源センターを立ち上げたのに合わせて、執行責任者としても働き始めました。その後、新設された社会学学科部の副部長を務め、法学科ができた後は科長となりました。しかし私はあくまで犯罪学の研究者です。大学指導部の任務にはいつも真剣に取り組みましたが、犯罪学方面の研究はやめることなく、優秀な成果を出すことに努めてきました。
近代の文明という点から見ると、日本には、社会制度を含めて中国が参考とすべきものが多くあります。日本に11年にわたって留学した人間として、日本の価値あるものを中国に紹介することは、私の責任だと考えています。例えば地域社会での更生は、近代刑罰制度の進歩と言えるものです。保護観察や仮釈放、執行猶予、施設外処遇を受けた犯罪者に対し、地域社会での非監禁処遇を実施し、社会に身を置いての矯正を受けさせ、専門家や住民による管理監督を通じて、犯罪に傾く心理や人格を矯正し、新たな人間へと彼らを更生させるものです。こうした事業は10年ほど前から上海や北京、山東、天津などでも試行され始め、2009年から全国で推進されています。しかし担当部門は日本の経験をよく知らず、これに基づいた実証研究を欠いています。私は国家社会科学基金課題を受け、日本のケースを研究し、東京にある池袋、早稲田などの社会復帰施設を調査研究し、運営のあり方を調べました。帰国後、関連文献や日本の社会復帰施設に関する翻訳資料を手がかりに、中国にとって参考意見となる論文をまとめ、書籍として発行しました。国内の社会復帰施設の担当者から、論文を通じて初めて復帰施設の運営のあり方を理解したとの声が多く寄せられました。調査によると、日本の社会復帰施設では、計画的な生活に失敗して再び罪を犯すことがないよう、社会復帰後の生活のための財テク教育まで行われています。また釈放後に行き場がなくなって昔の仲間の所に戻ることがないよう、友人を作るための基本的なテクニックも教えられます。元仲間からのアルコールや麻薬の誘いをいかに断るかも教えられています。日本のこうした方法は、中国全土の地域矯正事業の規範化にも大きく役立つものです。
■留学の秘けつは努力と法遵守
――日本留学希望者やまもなく留学の学生にアドバイスはありますか。
日本への留学で最もつらいのは最初です。その後はなんとか生き延びていくことができるでしょう。二年ほどで逃げ帰る人に理由を聞くと、さびしさやアルバイトのつらさのほか、日本人の真面目さを挙げる人もいます。日本人は要求が細かく、生真面目なので、耐えられないと言うのです。日本への留学にあたってはきちん目標を決め、その実現のためにたゆまず努力をすることが大切です。
また滞在中は、法遵守にも特別の注意が必要です。日本の法律は非常に細かく、例えば「粗大ゴミ」とされるテレビや冷蔵庫は拾ってもよいのですが、放置された自転車に乗ってはいけません。自転車は警察で登録されており、放置自転車に乗っていて見つかるとトラブルになります。自転車に持ち主がいれば窃盗容疑者として取り調べられることになってしまいますし、持ち主がいなくても勝手に拾うと「離脱物横領罪」という罪に問われてしまいます。法遵守には特別の慎重さが必要です。
日本人の生真面目さは時に、中国人には面倒にも感じられるでしょう。留学生が銀行で口座を申請したり、奨学金を申請したり、アルバイトをしたりするのに、指導教員の印鑑が必要となることがあるでしょう。指導教員が相談しにくい相手だったり、なかなかつかまらなかったりしたら、文房具屋ではんこを買って押してしまいたいと思うかもしれません。しかし日本ではこれは違法行為で、「印章偽造の罪」として処理されます。日本滞在中は、うっかりして法律に抵触することがないよう、よく注意するようにしてください。(人民網記者・陳建軍)
「人民網日本語版」2014年4月30日
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