「社会政策は民生という最低ラインをしっかり守り続ける」「経済発展と民生の保障を統一的に推進する」……。人々が関心を寄せる雇用、住宅、高齢者の暮らし、出産など民生の問題をめぐり、12月8日から10日にかけて北京で開催された中央経済政策会議は、一連の重要なシグナルを発信した。
雇用優先:経済成長による雇用の牽引力向上
今回の会議では、「来年の経済活動は安定を一番に置き、安定を維持しながら前進する」「引き続き『六つの安定(雇用・金融・対外貿易・外資・投資・予想を安定させること)』と『六つの保障(雇用、基本民生 、マーケットエンティティ、食糧・エネルギーの安全、産業チェーン・サプライチェーンの安定、末端の運営を保障すること)』の取り組みをしっかり行う」ことが要求された。雇用の安定はタイトルが掲げていることだ。
同会議では、大学卒業生をはじめとする若者の雇用問題をしっかり解決し、フレキシブルワークの労働・雇用と社会保障政策を整備することが要求された。
マーケットエンティティは数億人の雇用・起業を支えている。会議では、新たな減税・費用削減政策の実施が強調された。
専門家によると、こうした動きはマーケットエンティティの強化にプラスであり、特に膨大な数の中小・零細企業への支援の強化にとってプラスであり、マーケットエンティティの信頼感を高め、各種の雇用形態が雇用で果たす役割を発揮するのを後押しすることになるという。
住宅ニーズ:「住宅は投機の対象ではない」を堅持
会議では、住宅は住むためのものであって、投機のためのものではないとの位置づけを堅持し、予測の誘導を強化し、新たな発展モデルを模索し、賃貸と購入の双方を堅持し、長期賃貸市場の発展を加速させ、保障性住宅(政府補助のある低中所得者向け住宅)の建設を推進し、分譲住宅市場が購入者の住まいに対する合理的なニーズによりよく応えるよう支援し、都市ごとの状況を踏まえて政策を実施して不動産業の良好な循環と健全な発展を促進することが要求された。
中国社会科学院都市・競争力研究センターの倪鵬飛センター長は、「『住宅は投機のためのものではない』との方針には投機の抑制が含まれるとともに、居住に対する支援が含まれている。この位置づけは不動産の長期的に安定した健全な発展の基礎を突き固める上でプラスになる。目下の情勢の中、こうした動きは市場の信頼感を高め、市場の予想を安定させる上で重要な意義をもつ」と述べた。
また倪氏は、「保障性住宅、長期賃貸住宅、分譲住宅の発展と利用を通じて、金融、都市、税金などの政策措置を整備することは、より質が高く、より多様な住まいを求める人々の合理的な住宅ニーズに応える上でプラスになる」との見方を示した。
老後の保障:基本養老保険の全国統一を推進
人口高齢化に積極的に対応し、民生という最低ラインをしっかり守り続けることがとりわけ重要だ。会議では、基本養老保険(年金制度)の全国統一を推進することが要求された。
予測によると、第14次五カ年計画期間に、全国の高齢者人口は3億人を突破し、中国は高齢化社会の初期から中期へと足を踏み入れる。
今年6月、人的資源・社会保障部(省)は「人的資源・社会保障事業発展の第14次五カ年計画」を発表し、第14次五カ年計画期間(2021-25年)中に、基本養老保険の加入率が95%に達するようにし、養老保険のカバー範囲が拡大を続けるよう補助サポートし、年金基金の規模が4兆元(約71兆円)を超えるようにすることを打ち出した。
中国人民大学公共管理学院の胡宏偉教授は、「養老保険の統一レベルを引き上げることは、この制度の健全な運営、労働力市場の一体化推進、地域の協調発展にとってプラスになる」との見方を示した。