2019年中国経済の成績表がまもなく発表され、通年の国内総生産(GDP)成長率は6.1%前後だったとみられる。経済界では、経済の下ぶれ圧力が増大する20年に、GDP成長率が6%を維持する必要があるかどうかについて議論されている。アナリストはこのほど、「短期的で大規模な活性化政策を打ち出して、経済成長率をなんとしてでも6%以上にしようとするのはよくない。反循環的調整の度合いをしっかり把握した上で、供給側改革をさらに深化させ、経済発展の質を高めることこそが必要だ」との見方を示した。「中国証券報」が伝えた。
経済成長率の「6%維持」が成長を安定させる主要目標になってはならない。中国経済の成長は高度成長から中高速成長へと転換しており、雇用が十分にあり、物価が安定を維持していれば、経済成長率がやや高くなったりやや低くなったりするのは、すべて合理的な範囲内でのことだ。活性化政策によって「6%維持」をはかれば、実際には収入が支出に追いつかず、未来の成長のポテンシャルを前借りすることになる。
「6%維持」の議論がよりはっきりと映し出すのは、経済成長率は減速してもよいが、予測値より失速してはならないこと、言い換えれば安定が一番であり、安定の上に質の高い発展の成長と良好を実現させなくてはならないことだ。これについて、このほど開催された中央経済政策会議では次のような具体的な決定事項が発表された。
20年の経済成長率は6%前後を維持する可能性が高い。一方で、これまでの政策が効果を現し、一連の主要マクロ経済成長には安定化の兆しがみられる。またここ数ヶ月は消費者物価指数(CPI)の上昇幅が高かったが、豚肉価格の上昇傾向は収束し始め、物価は全体として穏やかでコントロール可能であり、マクロ調整政策に影響することはない。また一方で、経済の下ぶれ圧力に対抗する反循環的調整が強化されている。インフラ建設の投資拡大、地方の特定債権限度額の事前通達、預金準備率引き下げなど、一連の安定成長のための措置は新年が始まって力を発揮し始めた。
経済成長の目標は未来の発展の中でさらに注目度が下がり、経済発展の質こそより注目されるべきだ。19年には中国のGDPが100兆元(約1589兆円)に迫り、1人あたり平均GDPは1万ドル(約110万円)に達した。この段階での供給側構造改革の重点は科学技術の発展加速、新たな経済成長源の育成、産業構造の調整、新たな産業クラスターと新たな競争優位性構築の推進、成長の新たな原動力の育成、労働生産性の向上、経済の質の高い発展への推進だ。
全体としてみると、経済の基数がますます大きくなるのにともない、潜在的成長率の影響や中国内外の条件・要因の変化を受けて、経済成長率はこれから鈍化する可能性がある。しかし経済発展ではGDPをもって功績を評価してはならず、大台に乗ることにこだわってもいけない。調整の重点は反循環的調整によって市場予想の安定を誘導し、雇用情勢の安定を確保し、供給側改革によって制度のメリットを還元し、全要素の生産性を向上させることにある。(編集KS)
「人民網日本語版」2020年1月14日