韓国と日本の紛争は中国産業界にとって「危機」でもあれば、「チャンス」でもある。「環球時報」が伝えた。
フッ化水素、フッ化ポリイミド、レジスト(感光剤)。この3品目はあまり知られていない材料だが、1千億ドル(1ドルは約108.1円)規模の市場を動かしている。日本が今月4日から3品目の韓国向け輸出規制を強化すると発表すると、韓国産業界のみならず世界の供給チェーンに懸念が広がった。日本紙「日本経済新聞」の15日付報道によれば、日韓間の紛争は韓国半導体産業に供給が滞るリスクをもたらすとともに、中国企業へも影響を与える可能性があるという。
▽中日韓は1本の産業チェーンの上にいる
グローバル化が進む昨今、1つの商品の生産には複数の国が関わっていることが多い。メモリ(RAM)や有機ELディスプレーなどはこうした国際分業システムの代表的製品だ。日本企業(中国)研究院の陳言執行院長が15日に取材に答えて述べたところによると、「こうした分野では、中日韓の間には比較優位性に基づいた産業チェーンの分業システムが存在する。日本は半導体と有機ELの材料を製造して韓国に輸出し、韓国は半導体と有機ELの製品を中国に輸出し、中国は再加工して携帯電話やテレビなどの製品を製造して世界に販売する」という。
米国の科学技術メディアのテッククランチの最近の報道では、韓国サムスンはメモリチップ(DRAM)とNAND型フラッシュメモリの最大のメーカーであり、世界シェアは40%と35%に達する。別の韓国企業のSKハイニックスは世界2位のDRAMメーカーで、市場シェアは31%に上る。有機ELの製造分野では、サムスンと他の韓国企業が業界トップの位置にいる。
韓国・聯合ニュースによれば、日本は目下、有機ELの原材料であるフッ化ポリイミドと半導体の原材料であるレジストおよび高純度フッ化水素の最大の供給国だ。業界関係者の話では、日本のフッ化ポリイミド生産量は世界の90%を占め、高純度フッ化水素も同70%を占めるという。
産業チェーンの川下で韓国が製造した半導体製品と有機EL製品は、主に中国に輸出される。韓国の産業通商資源部が発表したデータによれば、18年の韓国の半導体輸出額は1281億5千万ドル(1ドルは約108.4円)に上り、うち対中輸出額は857億8千万ドルだった。
陳氏は、「日本が韓国に対する輸出規制を実施すると、産業チェーンの正常な運営にマイナスの影響が出る」と指摘。「日本経済新聞」も、韓国企業の部品供給に問題が起きれば、中国の華為(ファーウェイ)をはじめとするスマートフォンメーカーの生産にも影響が及ぶ可能性があると報じた。