米国商務省は「エンティティ・リスト」(輸出規制対象リスト)に華為技術(ファーウェイ)を加え、米国の学術団体IEEE(米国電気電子学会、Institute ofElectrical and Electronics Engineers)はファーウェイ所属の専門家は論文審査に関わることを制限するとしながら、今月3日になって突然制限を解除すると宣言した。「科技日報」が伝えた。
殺伐とした状況の中、人々の心には「中国の民間企業を前にして、世界一強い国といわれる米国が、一体何を恐れているのだろうか」という疑問が浮かび上がる。
単純化して言えば、答えは貿易戦争ということになるが、経済的な観点よりもはるかに恐ろしい内容がそこにはあるとも考えられる。米国がファーウェイを、ひいては中国の科学技術の息の根を止めようと躍起になるその背後には、イノベーション力に対する不公平な秩序の反撃がある。
ファーウェイをターゲットにしたのはなぜだろうか。
ファーウェイ公式サイトの情報によると、ファーウェイは世界トップクラスのICT(情報通信技術)インフラおよびスマート端末のサプライヤーとして、あらゆる人、家庭、機関にデジタルの世界をもたらし、万物のインターネット(IoE)を実現したスマート世界を構築するために努力しているという。
インフラは国家間の競争における核心的命題の1つだ。インターネットが登場すると人類にかつてない高効率のツールを提供しただけでなく、インフラのリストに「情報通信設備」という新たなメンバーが加わった。
整った通信設備・通信技術を備えれば、情報を獲得・コントロールする上で主導権を握れるようになることは間違いない。素早く情報をつかみ、人より先に方針を決定することができるのだ。一方、設備・技術をもたなければ情報の非対称性に直面し、受け身の立場でいるほかなく、自分の運命をコントロールすることができない。
ここで私たちはさきほどの問題の答えにかなり近づいたといえる。
産業革命以降、科学技術で先行することにより一部の国がインフラ面で優位に立ったことは確かだ。こうした国々は自国に整った公共インフラを構築し、自国民を低レベルの単純労働から解放し、社会的生産力をより付加価値の高い形態に押し上げ、自由で公平なイメージを打ち出し、人類の文明を導く灯台になったかのようだった。
しかしこうした国々は自分たちの仲間ではない国家や文明に対しては、「博愛」の心をもたなかった。アジア、アフリカ、中南米の発展途上国・地域に切れ目なく続く債務と時代遅れの商品を送り込むと同時に、発展途上国・地域が通信設備を含む大規模インフラ建設を展開することを支援しなかった。
そして、中国がやって来た。