中米経済貿易協議の当初から中国側は真摯でこだわりのない、オープンで包摂的かつ非常に責任ある姿勢で望んできた。6月2日に正式に発表された「中米経済貿易協議に関する中国側の立場」白書がそれをはっきりと証明していると言える。約8300字に及ぶ白書は中米経済貿易摩擦の経緯と協議の基本的状況を系統立てて整理し紹介している。中米経済貿易協議に関する中国政府の原則的立場を明らかにしたうえで、協議が深刻な頓挫を来した責任の所在は全て米政府にあると厳しく指摘した。中米間の経済貿易問題について中国側が白書を公表したのは、昨年9月の「中米経済貿易摩擦に関する事実と中国の立場」白書以来となり、中国側が中米経済貿易協議に関して発表した2回目の白書となる。中国側の立場と決意は終始一貫しており、公明正大と言える。(人民日報「鐘声」国際論評)
経済貿易問題における中米両国の姿勢と行動を観察すると、国家の信望、道義、責任感における双方の明らかな違いが見えてくる。米国が対中経済貿易摩擦を引き起こして両国及び世界全体の利益を損ない、中米経済貿易協議において前言を翻し、不誠実で信用を重んじない行為を繰り返してきたのに対して、中国は一貫して平等、互恵、誠実と信用に基づく協議の立場を堅持してきた。
米側は「米国第一」政策を推し進め、他国に対して一連の一国主義的措置や保護主義的措置を講じ、関税によるプレッシャーを濫用し、自らの利益上の要求を押しつけている。一方的な「201」や「232」、「301」条調査によって中国を含む主要貿易パートナーに対してしきりに行動を起こし、全世界の経済貿易構造をかき乱している。米国は中米の経済構造と発展段階の特徴、及び国際産業分業の現実を無視して、「中国は不公正で対等でない貿易政策を講じている」との認識を堅持し、自国の対中貿易赤字を「損をしている」と考え、一方的な追加関税措置を講じている。だが覇権主義に頼れば米国を「再び偉大に」できるとの考えは深刻な誤りであり、世界の平和的発展を深刻に脅かすことを様々な事実が示している。
白書は以下の統計を提示している。▽中米経済貿易摩擦の影響を受けて、米国の対中輸出は8ヶ月連続で減少▽2018年の中国企業の対米直接投資は57億9000万ドルで、前年比10%減少▽2019年及び今後4年間の米国の国内総生産(GDP)は全体の0.3~0.5%に当たる640億~910億ドル減少する恐れあり▽米国が中国からの全ての輸入品に25%の追加関税を課した場合、米国のGDPは1.01%減少し、雇用は216万人減少し、4人家族の年間支出は2294ドル増加。これこそが米国が「損をする」事実と言えるだろう。米国の一部の政治屋はひたすらもめ事を引き起こして自らを損を招いているうえ、世界経済に悪影響を与えている。世界貿易機関(WTO)は2019年の世界貿易の伸び率を3.7%から2.6%に引き下げた。また世界銀行や国際通貨基金(IMF)など国際組織も2019年の世界経済成長率予測を次々に下方修正している。
経済グローバル化の時代において、中米両国の経済は高度に融合し、共同で整った産業チェーンを構成している。残念な事に、以前は盤石で互恵・ウィンウィンだった両国経済が現在の米側の愚かで歪んだ経済貿易政策のために苦しみ、世界経済にも暗雲が立ち込めている。
前言を翻し、不誠実で信用を重んじない行為を繰り返しているのは一体どの国か。真の事実によって明らかにする必要がある。ここしばらくの間、米国の一部の政治屋は中米経済貿易協議をめぐり言葉を濁し、「早期に合意する」と言ったかと思えば、「合意は困難だ」と言い、あろうことか中国側の立場が「後退した」といわれなき非難を加えている。中国側の公表した白書は、米側が前言を翻し、共通認識に背いてきた行為を明確に指摘している。▽米側は根拠なき批判を理由に中国からの輸入品500億ドル相当に対する25%の追加関税を発表した▽中米共同声明発表のわずか10日後に協議での共通認識を覆し、追加関税計画を引き続き推し進めて、中米経済貿易摩擦の急速なエスカレートを招いた▽すでに両国が大部分の問題について一致した段階で要求を吊り上げ、合理的でない条件を突きつけ、経済貿易摩擦以降の追加関税の完全撤廃をしない、中国の主権に関わる強制的要求を合意文書に盛り込むといった姿勢を堅持するとともに、中国からの輸入品に対する追加関税措置をさらに強化した。米国の覇権主義という態度、最大限のプレッシャーという手段が余すところなく露呈しており、正しい道理と正義を誠実に守る中国がこれらに屈服するわけがない。「和すれば共に利し、争えば共に傷つく。協力が双方にとって唯一の正しい選択だ」とし、「中国は協力という方法によって解決し、互恵ウィンウィンとなる協議の合意を望んでいる」と、中国側は米側に再三にわたり告げてきた。
覇権主義を遂行する国は孤立する運命にあることを、歴史と現実は繰り返し証明している。「われわれは過去のどの時期にも増して、一国ではなく多国間の考えと行動を必要としている」や「今の米国は国際秩序に全く敬意を払っていない」、「WTOルールに違反して多角的貿易体制を損なっては支持を得られない」、「中国の発展を阻止するのは米国と世界全体にとって壊滅的なことになるだろう」、「中米関係の緊張と先行き不透明が続けば、たとえ最後に深刻な衝突が起きなくても、全世界に大きな破壊をもたらす」といった遠慮なき警告が欧州やアジア、そして世界各地から発せられ、世界の平和と繁栄の維持を差し迫って切望する世界各国の人々の心をしっかりとつかんでいる。
中国は常に道義を重んじ、果敢に責任を引き受ける国であり、国家の尊厳と国民の利益を守ると同時に、世界各国の互恵・ウィンウィン実現のためにあらゆる可能性を創造している。中米は相互尊重と平等互恵の精神を堅持し、善意と誠意に基づき、協議によって問題を解決し、溝を埋め、共通利益を拡大し、世界経済の安定と発展を共同で維持するべきだ。
互恵・ウィンウィンの将来は手に入れることができるし、手に入れるべきだ。中米経済貿易協議の全体的方向において、後ろ向きではなく、前向きである必要がある。双方が向き合って進み、調整・協力・安定を基調とする中米関係を共に推し進めて初めて、世界各国の期待に沿い、中米両国及び世界の人々の幸福を増進できるということは何の疑いもない事実と言えるだろう。(編集NA)
「人民網日本語版」2019年6月3日