米国の学術団体IEEE(米国電気電子学会、Institute of Electrical andElectronics Engineers)が華為技術(ファーウェイ)の関係者を論文審査から排除するというニュースが伝わり、中国のネットユーザーの間で広く注目を集めている。
伝えられたところによると、IEEEは電子メールを通じて、ファーウェイの従業員がIEEEの機関誌の編集および論文審査に関わるのを禁止すること、過去にファーウェイから科学研究費を受領した人も論文審査に関われないことを通達した。このメールが明らかになると、学術界にはすぐさま大きな波紋が広がった。「環球時報」が伝えた。
シンガポールの中国語紙「聯合早報」の報道によると、今回明らかになったメールには、IEEEは「IEEEのFAQ(よくある質問)文書第12項に基づき、当会はファーウェイ従業員を機関誌の査読段階での論文審査担当者および編集担当者として採用してはならない」、「ファーウェイ従業員が編集委員会に残ることは認めるが、ファーウェイが米国商務省のブラックリストから除外されるまでは、どのような文書の処理も担当してはならない」とあった。また、「当会には他の選択肢はなく、関連の新規定を遵守するしかない」ともあった。専門家は、「IEEEがファーウェイ従業員を査読段階の論文審査および編集の担当者に採用しないよう求めたのは、おそらく論文審査が秘密保守の問題に関わってくるからで、機密漏洩を防ぐのが狙いだろう」との見方を示した。
IEEEは本部を米国ニューヨークに置き、世界150ヶ国あまりに支部があり、専門分野の35分科会と2つの連合会をもつ。世界の電子工学、電気通信、コンピュータ科学分野の文献30%を作成するほか、現行の900を超える工業標準を策定した。分析によれば、「同会が発表した禁止要求メールは、ファーウェイ関連の投稿、文章、会議への賛助、支部の職務がいずれもが影響を受ける可能性があることを意味する」という。30日早朝の時点で、IEEEもファーウェイもこの件についてコメントを出していない。
多国籍の学術機関であるIEEEのこのようなやり方は、多くの学術関係者の不満を引き起こしている。
北京大学情報科学技術学院の張海霞教授は29日、IEEE会長に公開書簡を送り、「IEEEがファーウェイ専門家が機関誌の論文審査に関わるのを禁止したことは、学者として受け入れ可能なラインを大きくはみ出す行為だ。IEEEの会員および機関誌の編集委員として、自分の態度を明らかにしなければならない。所属する機関誌の2つの編集委員会からの脱退を申請する」と述べた。清華大学コンピュータ科学・技術学部の劉奕群准教授も中国のSNSに、「たった今、学生にIEEEのどの組織の会議や機関誌にも投稿しないよう伝えたところだ。個人として引き受けているIEEEの学術関連の職務は早急にプロセスに添って辞任する」と述べた。張氏は29日に取材に答えた中で、「個別の企業を故意に『ブラックリスト』に加える。自分はこういうやり方が嫌いだ。これは審査委員会に対するひどい侮辱であり、自分たちだけでなく、世界中の科学者に対する侮辱であり、これには米国の科学者も含まれる。科学者がなぜこんなことを受け入れなければならないのか。これは実に私たち学者の従う原則に完全に背くものであり、容認できないことであり、全世界の科学者すべてが容認できないことだ。こんな状況はこれまでに見たことがなく、IEEEのやり方は学術界に非常に大きなマイナス影響を与えることになる」と述べた。
海外のネットユーザーもIEEEのやり方に不満や批判の声を上げ、「学術界が政治に頭を下げるようなやり方は低レベルだ」と述べ、一部の海外のIEEE会員も退会して抗議の意を示すとしている。(編集KS)
「人民網日本語版」2019年5月30日