中国の唐宋時代に流行した茶の味を飲み分けて勝敗を競う遊び「闘茶」は日本に伝わると、禅宗の思想と融合し、茶だけでなく、茶道具を楽しんだり、精神を修養したりすることを一つにした人をもてなす芸道となり、「茶道」と呼ばれるようになった。
諸行無常という禅宗の哲学思想が取り入れられた日本の茶道は、どの機会も一生に一度のものと心得て、主客ともに誠意を尽くすべきことをいう「一期一会」の精神を強調し、それを基礎に、茶をたてて飲むまでの細かな作法が定められている。
日本の茶道は一種精緻窮まる文化活動であり、その茶室の設計から茶をたてて飲む作法に至るまで、非常に細かなマナーとルールが定められている。茶室には、イグサを編み込んで作った畳が敷かれ、床の間には掛け軸や花が飾られている。茶を飲むよう招かれた人は着物を着て、懐紙と扇子を手に、庭の花や草、木を鑑賞し、その後、路地を歩いて、背の低い手水鉢に役石をおいて趣を加えた「蹲踞」で手を清める。そして最後に草履を脱いで、頭を下げ低い姿勢にならないと入れないため、高い身分の人も低い身分の人も茶室の中では皆平等という意味が込められた高さ70センチ足らずの躙口を通って茶室に入る。
茶室に入ると、亭主がまず、客に美しい色合いの旬の和菓子を提供し、その後、湯を用意して、白い茶巾で水滴を拭いて清めた茶碗に抹茶を入れて、湯を注ぐ。その後、茶筅で茶をたて、泡が細かくなって香りが漂うようになると、客にそれを提供する。客はそれを飲む時は、右手で茶碗を取り、左手にのせて、茶碗正面の絵や模様を避けて右手で軽く回してから飲む。これは謙虚さや慎み深さを表す作法だ。また、茶を一口飲んだ後、亭主は客と儀礼的な挨拶を行う。
比較的正式な茶事では、ひとつ碗で同じ濃茶を回して飲んでゆく。4時間の茶事中、損得などに関係した世俗的なことを話題にしてはならず、主に茶室に飾られた掛け軸の詩や生け花などを話題にした会話しかしてはならない。
このような一見堅苦しいルールに、日本の茶道の心と理念が詰まっていると言えるだろう。
日本の茶道の流派・表千家の引地宗心氏は、茶道について、「亭主の苦労を自分も味わう。そして、楽しさも同じように分かち合う。じっくりお茶を味わう。というのが茶の『一期一会』の意味合い」と説明している。(編集KN)
「人民網日本語版」2019年5月24日