日本の安倍晋三首相は2回目に政権を取って以来、量的緩和政策によって為替相場を円安で推移するようにし、大企業の帳簿上の収益が年々大幅増加するように仕向けてきたが、企業は政策の想定通りには動かず、大規模な設備投資を行うこともなければ、社員の給与を大幅に引き上げることもなく、利益を貯め込んで「内部留保」にするようになった。内部留保は一部の人から、「消費市場の低迷をもたらした悪の親玉」とみなされている。総合誌「環球」が伝えた。(文:劉雲・中国現代国際関係研究院副研究員、南開大学日本研究院客員研究員)
▽政客に注目される収益の内部留保
「アベノミクス」政策のロジックによれば、つまり米連邦準備制度理事会(FRB)のグリーンスパン元議長の「量的緩和政策」の理論的枠組によれば、日本経済は次のように推移するはずだった。中央銀行が量的緩和政策を実施して大量の通貨を市場に流すと、通貨の「量」で「低下する資金の循環ペース」を補えるようになり、資本の流動や貸出の「ブラックボックス」が正しい軌道に乗り、経済はデフレからインフレに転じて成長ルートに入り、企業は設備投資を増やし、社員の給与を引き上げる、というシナリオだ。
だが理論と現実は一致しない。
日本の消費者物価指数(CPI)は2017年9月に前年同期比0.7%上昇にとどまり、日本銀行(中央銀行)は2年間でCPIを2%上昇させるという目標の達成時期を6回にわたり先送りした。企業の社員の額面給与の年平均増加額はわずか1千円で、これとて企業の労働組合が「春闘」で勝ち取った成果に過ぎない。世帯の実質可処分所得は「アベノミクス」実施前の12年を下回り、正社員のポストは12年より36万人分減った。
16年に日本を訪れて交流を行った米経済学者のポール・クルーグマン氏は、「量的緩和政策は日本では期待されたような効果を上げていない」と指摘した。
量的緩和の状況と鮮明な対比をなすのは、大企業の帳簿上の収益が激増している状況だ。
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