このアンバランスを是正するため、政客たちは次々に「内部留保」に目をつける。00年以降でも、二重課税の疑いがあり、企業の自由な経営の足を引っ張る「内部留保への課税」が政客たちによって繰り返し提起されたが、これでは日本経済の構造的矛盾を根本的に解決することはできないとして、常に議論の段階にとどまってきた。
▽希望がみえない日本経済
1990年代にバブル経済が崩壊して以来、日本経済は「失われた10年」、「失われた20年」に突入し、さらには「失われた30年」に足を踏み入れた。日本企業が「財布のひも」をしっかり締める原因は希望がみえないからで、ここには日本経済の構造的矛盾が反映されている。
そのうち、最も核心的な矛盾は「少子高齢化」だ。
日本は70年代に「高齢化社会」に突入し、94年に「高齢社会」になり、05年に「超高齢化社会」に入った。「少子高齢化」の直接的な結果として、次の3点が挙げられる。第1に、若者の税負担が増加し、高齢者を支える社会コストが増大し、政府の財政赤字は巨額になり、経済発展が重い荷物を背負うことになった。第2に、労働力の深刻な不足を招き、失業率が3.6%まで低下する中、企業が再生産を拡大しようとしても常に「人手不足」というボトルネックに悩まされ、政府が財政支出を増やして建設プロジェクトを進めようとしても、しばしば「人手不足」で頓挫することになった。第3に、人口減少により社会全体のニーズが減り、企業の投資意欲を押さえ込んだ。
次の矛盾は投資の期待収益の低下だ。
一方で、日本政府は90年代に不動産価格が暴落した際、思い切って「ゼロ金利政策」を打ち出しており、これは量的緩和の始まりとみなされる。安倍政権下の量的緩和では「マイナス金利政策」すら打ち出し、社会の正常な収益レベルを示す国債の利回りを長期的にゼロに近づけ、さらにはマイナスにしようとしている。
また一方で、日銀の試算では、ここ数年の日本経済の潜在成長率は0~0.5%まで落ち込んだことがあり、17~27年も1%に満たないという。潜在成長率には日本経済が低成長を維持するしかない状況が反映されている。この2組のデータからわかることは、企業がマクロ的観点からみて、日本で行う投資の収益はゼロになり、成長率は1%以下になると考えていることだ。ここから企業の日本国内での投資意欲の低下を説明することは難しくない。
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