1956年に父・梅蘭芳とともに訪日した梅葆ユエ(中央)と梅葆玖(右)姉弟。
伝統芸術を携え何度も訪日した父子
梅蘭芳氏は生涯で3度訪日している。なかでも1924年の2度目の訪日は1923年に日本で起きた関東大震災がきっかけとなっており、梅蘭芳氏は慈善公演のため訪日し、売上の全てを日本の被災地に寄付した。
1956年5月には周恩来総理が当時62歳の梅蘭芳氏を民間文化交流使節に任命し、3度目の訪日公演を行なった。その際には梅葆ユエ(ユエは王へんに月)氏と梅葆玖氏姉弟も父の訪日に同行した。梅蘭芳氏は53日間の訪日期間中にあわせて32公演を行い、日本に「京劇ブーム」を巻き起こして中日文化交流の道を切り開いた。
1961年に梅蘭芳氏が亡くなると、梅葆玖氏が梅蘭芳京劇団を率いて何度も訪日し、京劇芸術を広めた。1983年、梅葆玖氏と梅葆ユエ氏が率いる梅蘭芳京劇団が訪日した。これは同劇団にとって4度目の訪日であり、「文化大革命」後、初の訪日でもあった。こうして中日友好関係の発展を促すため、特別な役割を果たした。