日本のクラターコンサルタント・やましたひでこが提唱する、不要な物を減らし、生活に調和をもたらそうとする思想・断舍離(だんしゃり)が流行語となり、現代の生活理念として多くの人の生活に影響を及ぼしている。人民日報が報じた。
「断舍離」とは、端的に言うと不要な物を「断」ち、「捨」てることで、物への執着から「離」れ、身軽で快適な生活を手に入れることだ。
「断舍離」という理念が日本で発生したことは社会背景とも深い関係がある。1990年代以降、日本はデフレとなり、平均給料は下がり、消費能力が制限を受けるようになった。社会学者は、かつては日本人が誇りにしていた、日本国民の大多数が自分を中流階級だと考える「一億総中流」という意識に限界が生じていると見ている。特にバブルがはじけた後に成長した若い世代の約4割が社会に出てから非正社員として働いている。結婚できず、マイホームも買えない多くの人が無欲な「草食系」となっているのだ。一方、戦後のベビーブームに生まれた団魂世代は、消費に積極的な時代に育った。その世代が退職の年齢を迎え、若いころに購入したぜいたく品を売却し始めている。その量が多いため、ダイヤモンドの産地がないにもかかわらず、日本はダイヤモンドの輸出が世界で2番目に多い国になっている。
特に、2011年に起きた東日本大地震で、数万人が一瞬にして命や家を失ったのを目撃した多くの人が、人生ははかないということを悟り、物をたくさん持っていても意味がないと考えるようになった。そして、人と人のつながりや絆を重視するようになった。もちろん、「断舍離」というミニマリズムが人気となっているのは、日本に元々あった「もったいない」という伝統的な美学とも深い関係がある。
しかし、「断舍離」という概念に頭を痛めているのは、日本銀行の黒田東彦総裁だろう。黒田総裁は、量的緩和政策をすすめ、国民の消費を拡大させることで、デフレ脱却を目指している。しかし、日本経済の低迷の原因は一つではなく、高齢化などの多くの問題や経済改革の足かせとなり、円安政策は逆に生活コストの上昇につながっている。日本の国民の財布のひもが固くなっているはそれが原因で、「断舍離」という概念が出現して、「物を買わない」ことが提唱されるようになっている。
「断舍離」は、日本の中年や若者の世代の消費主義、経済政策に対する小さな「反抗」で、主流のライフスタイルになることはないだろう。しかし、その人と物の関係を考え直すその思考は非常に興味深いものがある。(編集KN)
「人民網日本語版」2016年4月29日