日本の安倍晋三首相は7日、新たな内閣改造を行ったが、今回の改造は「見どころ」を欠いたものなった。要職である内閣官房長官や外相、財務相、防衛相などはいずれも留任され、あまり重要でないポストだけが入れ替えられた。日本メディアの論評にもある通り、今回の安倍内閣改造は、来年夏の参議院選挙に向けた政権安定化に重点を置いたものと考えられる。(文:厖中鵬・中国社会科学院日本研究所副研究員)
安倍政権が内閣改造を行ったのは、9月の国会における安保関連法案の強行採決で民意が深刻に損なわれ、庶民の間で安保法案に反対する風潮が拡大していたためと考える。安倍内閣の支持率は低下し、長期政権をねらう安倍首相に打撃を与え、安倍内閣はこれに対する警戒を高めていた。内閣支持率の低下は、首相の求心力低下に直結し、安倍内閣に早期退陣を迫る口実を自民党内の反安倍勢力に与えることになる。党内の反対勢力の拡大を抑えるためには、内閣を改造し、有権者の信任を再び勝ち取り、内閣支持率を高める必要があった。党内反対勢力の抑えこみは、安倍首相が2度目の「3年の任期」を満了するための環境を作り出すものともなった。
だが安倍内閣が改造後、万事良好の状況を迎えたわけではない。安倍首相の直面する難題は多く、それらの解決にはいずれも手間がかかり、もしも解決できなかったり、解決の結果が悪かったりすれば、まもなくの参議院選挙(9カ月後)にも影響が出る。長期政権をねらう安倍首相にとっては、来年夏の参議院選挙という厳しい戦いに必ず勝ち、しかも一歩も譲ることなく勝つ必要がある。
参議院選挙に勝つための直接的で便利な道は、大量の日本の有権者の人気を獲得することであり、そのための有効な手段となるのは、経済のカードを切ることにほかならない。
安倍首相は今回の内閣改造で、新たなポストとして「一億総活躍担当相」を設け、このポストを腹心の加藤勝信に任せた。この人事には3つの意味がある。第一に、最初の「アベノミクス」に問題が生じ、新たな経済振興策を打ち出す必要に迫られた。第二に、政策の「効果」なるものは、自らな腹心にこの任を任せることで初めて発揮できるものである。第三に、新鮮なスローガンを打ち出すことで、有権者の注意を引きつけるねらいがあった。