中国が年内にテロリズム対策法を可決する可能性があることについて、米国務省報道官は22日「強い関心」を表明し、言論の自由を制限するものだと非難したうえ、同法が在中情報企業に中国側への技術支持を要求していることが、米国の対中貿易・投資に影響を与えるとした。(文:沈丁立・復旦大学国際問題研究院副院長。人民日報海外版コラム「望海楼」掲載)
米国は長年「言論の自由」を標榜しているが、2001年に「対テロ戦争」を始めて以来、米政府は立法及び公民に自制を求めることを通じて言論の自由において多く制限した。米側もテロ対策と人権擁護との間でバランスが必要だが、米国の法執行機関は法にのっとったテロ対策面で手を緩めず、そのやり方は結局は多くの民衆の理解と支持を得てきた。
テロリズムは暴力によって社会と公衆の利益を損ない、政府と国際組織を脅迫するイデオロギー、行為だ。テロ対策はテロ行為を取り締るだけでなく、テロリズムの思想を防止し、取り締る必要もある。テロ思想を取り締るのは、人権制限でないだけでなく、社会の圧倒的多数の人々の正当な権益を保護することに他ならない。テロ思想は社会に危害を与える。責任あるどの政府もその拡散を容認することはなく、テロリズム拡散にいかなる余地も与えないよう世界各国が一致協力するべきだ。
では、なぜ米国がテロ思想の拡散を制限するのは言論の自由の侵害ではなく、中国がテロ対策法を施行するのが言論の自由の制限になるのか?これは明らかなダブルスタンダードではないか?
中国側のテロ対策法制定に対する米政府のもう1つの懸念は、中国がテロ対策を理由に在中米情報企業に重要な情報の提供を要求することだ。確かに、テロ対策法草案は在中通信業務経営者とインターネットサービス提供者が中国の公安、国家安全機関によるテロ活動の防止・調査のために技術的インターフェースや暗号解読などの技術的支持を行うことを定めている。この規定は中国企業にも在中外国企業にも同時に適用される。