今回の訴訟は、日本の宮内庁や安倍晋三首相、木寺昌人・駐中国日本大使を被告としている。
その理由に関して、王部長は、「安倍首相は何度も侵略の事実を歪曲した。宮内庁は、石碑を管理しており、直接的責任がある。木寺駐中国大使は、問題を解決しようという誠意に欠ける」と説明している。
日本の天皇を被告にしなかったことに関して、王部長は、「天皇は日本の象徴。日本では、高い威信と崇高なイメージがある。そして、中日の友好関係を望み、日本の中国侵略問題に関しても反省の意を示している」とその理由を説明した。そして、「中国の民間組織は慎重に検討し、中日関係の長期にわたる発展は非常に重要で、日本の関係者と引き続き接触できるようにするために、天皇を被告にすることは避けた。天皇が建設的な役割を果たしてくれることを願っている」と付け加えた。
訴訟では、被告に対して、公の場で謝罪をし、「鴻臚井の碑」を返還すること以外に、石碑返還などの歴史問題関連の活動にかかった全ての費用1301万元(約2億6020万円)の支払い、原告を代表とする中国の国民に対する慰謝料計14億元(約280億円)の支払いを求めている。
その他、一部の訴訟関係者が「日本が返還を1年遅らせるごとに、慰謝料を1億元(約20億円)増やすべき」との見方を示していることに関して、王部長は、「国宝が流出し、中国の国民は107年間苦痛を味わってきたことを考えると、慰謝料107億元は決して多くない。しかし、何度も検討し、賠償が主な目的でないことを確認した。慰謝料を14億元にしたのは、中国人一人ひとりに対して賠償を行うべきであることを象徴するため」と説明した。
中日関係の特殊性や訴訟管轄権などの法律面での制限を考慮し、王部長は、「北京市高級人民法院が訴訟受理し、情理にかなう判決を下してくれることを願っている。受理してもらえなかった場合、東京やICJで起訴できる可能性もある。できるだけの努力を払って、最終的に国宝が返還されることを願っている」と語った。(編集KN)
「人民網日本語版」2015年6月11日