今年5月23日は、中日関係史に名を残す日となった。中国の習近平国家主席はこの日、人民大会堂で中日友好交流大会に自ら出席し、日本の総勢3000人の大型訪中団と接見し、重要講話を発表した。この光景は近年、日本の右翼勢力の介入や破壊で中日関係が国交正常化以来の最も深刻な行き詰まりに陥っている中、極めて得難いものとなった。歴史を振り返れば、このような壮観が見られたのは31年前、3000人の日本の若者が中国政府の招きで中国を訪れ、中国の建国35年式典を参観した1984年のことである。(文:厖中鵬・中国社会科学院日本研究所副研究員)
中日関係は近年、両国の友好的な人々の心を傷める波乱を経てきた。その是非や原因は一目瞭然である。根本的な原因を作ったのは日本の右翼勢力にほかならない。両国の多くの有識者は日本の右翼勢力の挑発と画策に心を痛め、積極的に仲裁の役を買い、中日関係を正常な軌道に戻すチャンスを探してきた。
中日関係を正常な軌道に戻すことは、中日間の代々の友好を願う両国各界の有識者が心から期待することである。だが中日関係を順調に正しく発展させることは、願いだけでは実現できない。重要なのは日本側、とりわけ日本政府が、日本の現在と将来の発展に対する中日関係発展の極度の重要性を認識することである。二枚舌を使ったり、言葉と行動がずれていたりしてはならない。
そのカギとなるのはまず、安倍政権である。安倍首相は日本政府の首脳であり、中日関係の良好な発展のためにプラスの推進力を与える義務と責任、権力を持っている。プラスの推進力とは、心を静め、過去の侵略の歴史を心から反省・後悔し、第2次世界大戦終結70周年という特別な年を利用し、国際社会の注目の高いまもなく発表される「安倍談話」において、得難い歴史的チャンスをしっかりとつかみ、アジアの被害国の国民とりわけ中国人が納得・満足する内容で、錯誤の歴史を悔やみ平和な未来を願う日本の新たなイメージを打ち立て、アジアの被害国の国民とりわけ中国人の理解と許しを得ることである。また安倍首相は国内の財力を国民生活の発展と改善、とりわけ危機の止まらない福島原発の徹底的な処理に費やすべきであり、日本の武器と軍備をいかに充実させるか、国防安全分野で中国をいかに抑制・牽制するかに財力や考えをいたずらに費やすべきではない。さらに集団的自衛権の行使をいかに容易にし、日本の軍事力がいかに優れていて強いかを世界に誇示しようとばかり考えているべきでもない。
そのカギとなるのはまた、安倍首相と日本政界の要人が、中日関係の順調な発展のために健全で積極的な要素を提供し、その逆のことはしないということである。これには安倍首相が日本の政府首脳として、中立・客観・公正な顔を見せ、特定の勢力に偏向しない、とりわけ右翼勢力に極度に偏向しないということが含まれる。もしも日本の首相までもが右翼勢力の重要な一員となってしまえば、日本がファシズムの軍国主義政権に逆戻りすることにも近付き、日本政府全体が危険な存在となりうる。中立・客観・公正を実現するのはそんなに難しくはない。安倍首相が靖国神社参拝の考えを完全に捨て、靖国神社に一年のうち何度も物品を奉納することもやめ、靖国神社との関係を徹底的に切ればいいのである。これは安倍首相が中立・客観・公正を実現できるかの「試金石」となる。また安倍首相は政府首脳・与党総裁として、閣僚と与党要員が靖国神社に行かないことを約束し、閣僚と与党要員が各種の方式で靖国神社に参拝するのを黙って見過ごすこともやめなければならない。「中日関係の改善」を政府として一方で訴えながら、政界の要人がこぞって靖国参拝を行うというような「人格分裂」を許していたのでは、中日関係を徹底的に回復させることなどできはしない。