配管から止めどなく垂れ流される汚水、鼻を突く悪臭。ロークラス加工企業を中心に、長きにわたり伝統的製造業の重要拠点の名をもつ深セン市松崗コミュニティは、今抜本的な変化を迎えている。航空産業、電子産業、バイオテクノロジー実験室など、それはまるで雨後の竹の子のように、旧工場は次々とハイテク産業パークへと姿を変えている。今年、この区域には30社を超えるハイテク企業や高付加価値・高成長型企業が誘致され、今後松崗は近代的国際イノベーション型都市へと生まれ変わっていく。人民日報が伝えた。
松崗の変遷は、深センの数多い変遷物語の一つに過ぎない。許勤・深セン市長は、深セン市はイノベーションによりグレードアップを牽引し、新常態(ニューノーマル)下における安定成長と持続可能な全面的発展に力強い原動力を提供していると語る。同市のGDP総額は長年連続平均10.3%の成長を維持しており、2014年には経済規模が前年同期比約10%増で1兆6千億元(1元は約20円)を突破し、5年間で倍増している。技術革新を主とするイノベーション型経済がその牽引役となっており、バイオ、インターネット、新エネルギー、新素材、文化クリエイティブ、そして次世代情報技術の6大戦略的新興産業が年平均20%以上の速さで成長を続け、同期のGDP成長速度の2倍となっている。2014年の経済規模は1兆8800億元に達し、GDPに占める経済成長率は35%に達した。先進製造業の付加価値額は4824億元に達し、一定規模以上の工業企業(年売上高2000万元以上の企業)成長率に占める割合は74.2%を超えた。
また、全国74の重点都市を対象とした大気の質に関するランキングでは、深センは海口、舟山、ラサに次ぐ4位で、大都市の中では首位という事実にも感心させられる。
イノベーションへの投資は、その都市の未来を変える。2014年、深センの研究開発分野への投資額は640億元を超え、GDPの4.02%を占めた。国際特許申請件数は1万1600件で全国の約半分を占め、その数は世界6位のフランスの申請件数を上回る。4G技術や最先端素材、DNAシークエンシング、3Dディスプレイ、有機ELディスプレイ、新エネルギー自動車、無人機といったイノベーション分野で深センは世界をリードしている。
3年来、深セン市はヘルスケアや海洋経済、航空宇宙、スマートデバイス、ロボット、ウェアラブルコンピュータなど未来産業の推進を打ち出し、段階的な近代産業システムの構築によって深センのイノベーション型経済の新たな成長源を育んできた。深センは今応用技術イノベーションから基礎技術、コア技術、先進技術イノベーションへと舵を切り、追随者から牽引者へと躍進している。
ファーウェイ(華為)や中興通訊(ZTE)、テンセント(騰訊)など、これらのリーディングカンパニーは「イノベーション都市」の名刺となり、高成長イノベーション型中小企業は絶えず誕生している。統計によると、深セン市の科学技術型企業はすでに3万社を超え、国家級ハイテク企業は4700社超、このうち売上高が1千億元を超える企業は3社、百億元超は17社、10億元超は157社、1億元超は1203社に上る。
深センの現在のビジネス主体者数は170万世帯を超えており、これは深センの市民1500万人のうち1割が起業していることを意味する。柴火空間や創客中心、創客市集といった国際的なソーシャル・イノベーション・プラットフォームは、イノベーション発展に大きな社会的基盤を提供した。
「35年の改革発展を経て、深センの自主イノベーション力は絶えず成長してきたが、我々は永遠に自己満足することはない」。6月3日に閉幕した深セン両会(人民代表大会と政協会議)において、向こう5年間の新たな都市発展目標が打ち出され、馬興瑞・広東省党委員会副書記、深セン市党委員会書記は、果敢に「四つの全面」の推進者となり、この都市のイノベーション遺伝子と優位性を絶えず強化し、深センを近代的国際イノベーション都市へと成長させていくと強調した。(編集IM)
「人民網日本語版」2015年6月9日