中国人民大学労働人事学院の易定紅教授は、「サラリーマンが手にする年末ボーナスの額が業界もしくは企業によって異なるのは、まったく正常な現象といえる。経営状態が良好な企業は、当然、年末ボーナスの額も多いが、経営状況が思わしくない企業が、社員へのボーナスを無理に奮発すれば、ますます苦しくなるのは目に見えている」と指摘した。
業界間のボーナス格差は、所得格差の縮図に過ぎない。国家統計局のデータによると、中国における改革開放以来の各業界の所得格差は、全体的に拡大傾向にある。このことから、国民生活の保障・改善、所得再分配の改善、労働者保護など各分野でのさらなる改善が求められている。
〇同じ会社の社員なのに、あの人は多く私は少ないのはなぜ?
今回の取材を通じて、業界・企業によって年末ボーナスに格差があるほか、同じ会社の社員であっても、かなり大きな差がある事実が浮き彫りになった。北京の某国有企業で働く陳冉さんによると、彼の働く企業では、部門によって、さらに同一部門でも人によって、年末ボーナスの支給額はことごとく異なるという。次の通り陳さんは続けた。
部門間の差は、各部門のトップがボーナス配分額をどれだけ多く獲得できるかによって生じる。同一部門の中では、管理職と平社員の間で差が生まれる。平社員同士の違いの理由については、誰も知らない。年末ボーナスの支給基準が制度によって明確化されておらず、繰り返し上司に不満を訴える社員が一部にいたとしても、圧倒的多数の社員は、職を失わないために、ただひたすら怒りを耐え忍ぶしかない。私たち社員は、支給基準を透明化して公開してくれることを望んでいるだけなのに。
中国政法大学社会法研究所の金英傑准教授は、法律の観点から見て、「透明化された報酬制度を公開することは、企業にとっても社員にとっても利のあることだ。労働紛争の発生をかなり抑制することが可能となり、紛争のリスクを軽減できる」との見方を示した。
中国人民大学公共管理学院の劉昕教授は、次の通りコメントした。
企業が、一定の規模まで発展すれば、報酬制度を公開すべきだ。透明度の高い情報を公開することで、社員は、どのようにすれば多くの報酬を受け取ることができるのかを認識することができ、具体的にいくら稼げるのかを知ることができる。ただし、社員一人一人が稼ぐ具体的な額まで公開する必要はない。総じていえば、報酬制度、特に年末ボーナスは、極めて「ユニーク」な性格を帯びたもので、組織自体の特徴を反映し、企業文化などさまざまな要素の影響を受けている。(編集KM)
「人民網日本語版」2015年1月16日