中国社会科学院(社会科学アカデミー)工業経済研究所が15日に発表した「中国工業発展報告2014」の中で、中国では現在、賃金の伸びが鈍化しており、賃金水準は今後しばらくは過去数年間のように大幅上昇することはないとの見方を示した。中国新聞網が伝えた。
▽賃金水準は過去10数年間に大幅上昇
同報告によると、経済の高度成長、労働力需要の大幅増加、最低賃金水準制度の実施、若年労働力の供給減少といった要因が総合的に作用しあった結果、中国の賃金水準は過去10数年間に大幅に増加した。
国家統計局がまとめたデータによると、2013年の都市部の非民間企業・機関の従業員の平均年収は5万1474元(1元は約18.9円)に上り、このうち採鉱業は6万139元で前年比5.6%増加し、製造業は4万6431元で同11.5%増加した。
同報告によると、10年以降、中国では多くの地域で最低賃金水準が大幅に引き上げられ、工業部門の平均賃金は2けたの伸びをみせた。現在、中国の製造業の平均賃金は東南アジアや南アジアのほとんどの国を上回り、最大で6倍以上にもなっており、労働力コストの強みはもはや昔話だ。
▽中国の賃金は過去数年間のように大幅上昇しない
同報告は、ここ数年間、最低賃金水準の引き上げ幅が狭まり、平均賃金の増加幅もこれまでに比べ明らかに縮小していると指摘する。
人力資源・社会保障部(省)が発表したデータによると、11年には全国24省・自治区・直轄市で最低賃金水準が調整され、平均引き上げ幅は22%に達した。12年は25省区市で調整があり、平均引き上げ幅は20.2%となり、13年は27省区市で17%だった。平均引き上げ幅が年を追って縮小していることがわかる。
同報告によると、経済成長、企業の経営業績、最低賃金水準、労働力の供給といった要因が賃金に与える影響を総合的にみると、中国の賃金水準は今後しばらくは過去数年間のように大幅上昇することはないといえるが、質の高い人材資源の賃金水準は今後も大幅な伸びを維持する見込みだという。(編集KS)
「人民網日本語版」2014年12月16日