世界の年末ボーナス事情はどうなっているのだろうか。各国の状況をみてみよう。
▽米国:上層部は肉を食らい、一般社員はスープを飲む
米国人事局(OPM)は公務員の給与と奨励金について一連のルールを制定している。政府の新任の職員は特別な奨励金を受け取れることになっている。就任や異動に対する奨励金などで、基本給の約25%にあたる。だが一般の公務員は上限が設けられた給与のほか、どのような性質の補助金も形を変えた所得もなく、業績に対する奨励金もなく、株の配当もない。一般公務員の給与から連邦税、州税、社会保険料などを除くと、残るのは2分の1から3分の1ほどだという。
米国ではすべての会社に年末ボーナスがあるわけではなく、すべての社員が年末ボーナスをもらえるわけではない。米国では年末ボーナスは企業の管理ツールの一つとして利用されている。年末ボーナスが支給されるのは普通、中レベル以上の社員で、たとえば多国籍企業のハネウェルの場合、中レベル以上の社員の年末ボーナスは年収の5~10%ほどで、上層部は50%以上になることもある。また上層部には株式オプションなどのメリットが与えられることもあり、こちらは規模が大きく、年収を大幅に上回る可能性がある。とはいえ、米国人は仕事に対して真面目でありながらユーモアと自信に溢れる態度を示し、年末ボーナスを重視するが、日本人のように経営者の自分に対する信頼を示すものとはとらえない。米国人は今年のボーナスが少なければ、「よーしみていろ、来年はもっと働いて、もっとたくさんボーナスをもらうぞ」などと考えるのが普通だ。
▽オーストラリア:年末ボーナスは小さなこと
オーストラリアの一部の会社にも年末ボーナスはあるが、一般的に小さな出来事であり、商品券、ちょっとしたプレゼント、ワインなどを支給する程度のことに過ぎない。もちろん高額のボーナスもあり、金融会社や保険会社のトップ層は年末ボーナスや多めの株の配当をもらっている可能性がある。オーストラリアでは次のような年末ボーナスに特に人気がある。それは次年度に昇進できるかどうかというボーナス、そして次年度に休暇をより多くもらえるかどうかというボーナスだ。社員の多くは経営者と年末ボーナス時期にこうした点について話し合いをするのだ。また一部の会社で次年度に社員によりよいポストを与えることを年末ボーナスとし、社員のやる気を引き出そうとしているところもある。