「恐るべき」まじめさ 中国人留学生が語る等身大の日本
日本と聞いて思い浮かべるのはにぎやかな大阪や歴史ロマンあふれる奈良、文化の香りが漂う京都、満開の桜や点在する山間の温泉などだろう。しかし中国人留学生の孫◆さん(◆は女ヘンに青)にとって最も深く印象に残ったものは、日本人が日常生活で見せる非常に細やかな気遣いだった。中国紙「瀋陽晩報」が伝えた。
孫さんは中国で日本の大学から送られてきた合格通知書を受け取り、その宅急便を開けて見た際、しばし呆然とした。こんなに重くしっかりした宅急便の封筒に入っていたのはたった一枚の薄い紙だったのだ。通知書が折れ曲がったりしないように、大学側は2枚の硬いボール紙を使って、非常に薄い紙の通知書を挟みこんでいた。もしかすると中国人はこの行為をまぬけだと感じるかもしれない。2枚のボール紙のために、輸送料が高くなるほか、包装にも手間がかかる。しかし何事も完璧を求めるのが日本人なのだ。
孫さんは学生向けの無料コピーサービス「タダコピ」といった工夫からも日本人の節約を重んじる態度が見て取れるという。「タダコピ」とは、コピー用紙の裏面を広告掲載スペースとすることで、コピーサービスを利用する際にユーザーが負担する費用をなくしたサービス。裏面には、主にエンタメ関連情報やアルバイト情報、若者向け商品情報、就職関連情報が掲載されている。もちろん両面とも白い通常の紙を使うこともできるが、その場合は費用を払う必要がある。
日本の電車や地下鉄は非常に発達しているが、公共バスも利用者の視点に立った設計がなされている。孫さんによると、電車や地下鉄といった主要な交通機関は人の流れが速く、駅にいくつも階段があるため、お年寄りは通常バスを利用する。バスは必ず乗客がすべて座ってから発車し、乗客もバスが停車するまで立ち上がってはいけない。降りる際は事前にボタンを押す。誰もボタンを押さず、バス停にも人が待っていない場合は、バスは止まらず通り過ぎるので効率的。乗車の際は後ろのドアから入って整理券を取り、降車の際は前のドアでお金を払う。小銭がない場合は設置されている自動両替機でお札を細かくする。「バス代はだいたい200円ぐらい。以前、クラスメートが1万円しか持っておらず、両替機で長い時間かかって両替したことがあったが、乗客たちは皆我慢強く、誰一人怒る人も、文句を言う人もいなかった」と孫さん。
ある日、孫さんが寮の蛍光灯の交換を管理人室にお願いすると、作業員がすぐにやってきた。切れていない残りの蛍光管を確認すると、作業員は「持ってきた蛍光管の色と明るさが少し違うから、新しいものを持ってくる」と孫さんに告げたという。明るさが違うといっても、じっくり見比べないと気付かない程度だったが、作業員は結局4、5往復して切れた蛍光管を交換。それだけでなく、ほかの蛍光管もすべて同じ色合いのものに換え、ようやく満足したように帰っていった。このような行き届いたサービスを行う作業員を目の当たりにした孫さんは「まじめほど恐ろしいものはない」という言葉の意味を再認識したという。(編集MZ)
「人民網日本語版」2012年12月27日