かつての「ニュータウン」、中国人が3割 新たな活力源に 日本
1950年代から90年代、日本経済は高度成長期を迎え、人口は大都市に集中、大量に押し寄せる流入人口の住宅需要に都市機能は対応できなくなった。政府と地方自治体は連携し、東京・大阪など大都市圏郊外に「ニュータウン」を続々と建設した。しかし時代が変わり、早くに建設された公営住宅のハードウェアは、すでに現代のニーズを満たせなくなった。人口高齢化が徐々に進み、「ニュータウン」が「オールドタウン」となったいま、日本政府は公営住宅を改築、あるいは内装を一新し、「ニュータウン」復興を図っている。少子高齢化の影響、くわえて最新住宅があふれた結果、これらの「旧式」住宅は日本の若者にはもはや「時代遅れ」となった。しかし「オールドタウン」は優れた立地環境、交通の利便性、高品質住宅といったセールスポイントが、多くの中国人入居者を引き付けている。日本の華字紙「中文導報」が伝えた。
■2400戸の3分の1が中国人
埼玉県川口市の芝園団地は1978年に誕生した大規模住宅で、JR蕨(わらび)駅から徒歩5分。おおまかな統計によると、約2400戸のうち約800戸が中国人世帯だ。芝園町では4人に1人が中国人で、まさしく「中国人コミュニティー」といえる。
芝園団地に住む多くは、中国の改革・開放以降に訪日した「新華僑」。就労ビザを持つ人もいれば、中には永住権や日本国籍を取得している人もいる。最初に住み始めたのは、90年代末にIT日本企業で働く中国人だった。その後日本人が出て行くにつれ、中国人の数が次第に増え、地元の日本人から「中華団地」と揶揄(やゆ)されるようになった。
「外国人が多い地域は住環境が乱れ、ゴミ分別もされていない」とこれまでは報道されていた。しかし芝園団地はこのイメージを覆す。全15棟の団地1階の自転車置き場は整然としている。ゴミ置き場には中国語の分別注意書きが記され、不法なゴミ捨てはない。
外国人コミュニティーは日本各地に誕生しつつある。大阪府の門真団地も多くの中国人が住む。芝園団地とは異なり、中国残留孤児の子孫と親族が多い。東京都江戸川区西葛飾の清新町・臨海町の一帯の公団住宅はインド人が集まっている。さいたま市見沼(みぬま)区の東宮下団地には多くの東南アジア人が住む。
■「オールドタウン」に活力を注ぐ留学生
関西大と大阪大に隣接する「千里ニュータウン」。関西大には25カ国・地域の留学生735人、大阪大には100カ国・地域の留学生1924人が留学中だ。両大学は国際化のさらなる推進を計画しており、両校は3年後の留学生数を計3千人以上と見込んでいる。
関西大は今後、プロジェクト事務局を開設、「千里ニュータウン」内に活動拠点を設け、専門スタッフを常駐させる。さらに大阪府や地方自治体、国際交流協会、商工会議所などと協力、地域国際交流活動・企業インターン活動を展開し、留学生の就職先を広げる。
しかし「千里ニュータウン」再生計画は良いが、結果的には新たな局面が生まれるとの指摘もある。現在、在日外国人留学生総数は17万人にも満たないが、中国人留学生はすでに10万人を超えている。この比率から、「千里ニュータウン」は世界各国の言葉が行き交う「新都市」ではなく、中国の若者の「新都市」となる可能性がある。(編集HT)
「人民網日本語版」2012年12月24日