米原油先物史上初の「マイナス価格」が何を意味するか (2)

人民網日本語版 2020年04月21日15:44

今回の下落の影響を受けるのはまもなく期日を迎えるマーカンタイル取引所のWTI原油先物期近5月物で、正常な状況であればまもなく翌月分へ乗り換える原油先物取引と翌月分の原油先物取引との価格差はそれほど大きくならないが、現在の期近5月物と期近6月物の間の価格差は10ドルを超える。投資家がポジションを維持すれば、コストは2倍になる。これは非常にまれなケースだ。

アクシコープのチーフマーケットストラテジストのスティーブン・イネス氏は、「マーケットはさきの減産合意では原油市場のバランス確保にとって不十分だと考え、投資家は目下あらゆる代償を惜しまずに投げ売りをし、清算しようとする人はいない」と述べた。

新型肺炎の影響により、米国のほとんどの地域で取り引きが禁止された。原油先物期近5月物の主要な買い手は石油精製工場と航空会社など実際に石油を使用する実体だ。しかしこうした企業・機関の石油貯蔵施設はすでに満杯で、期近5月物に手を出そうとする買い手はいない。

米エネルギー情報局(EIA)のデータによると、米国の石油貯蔵量は12週連続で増加し、過去3年間で最高の水準に達したという。

4月10日までの1週間で、米原油貯蔵量は前週に比べて1924万8千バレル増加し、予想の1167万6千バレルを大幅に上回った。前週は1517万7千バレル増加した。貯蔵量は12週連続で増加し、増加幅は相次いで過去最高を更新し、全体的な水準は17年6月以降で最高を更新した。米国はガソリンの貯蔵量も過去最高に達した。

米オクラホマ州クッシングの原油貯蔵施設の貯蔵量は現在69%に達し、4週間前の49%を上回った。こうした状況の中、原油メーカーは今後数ヶ月間の原油生産量を削減して過去数ヶ月間低下した原油価格を抑え、在庫を減らし、生産コストを引き下げるしかない。

S&P(スタンダード・アンド・プアース)グローバル・プラッツのアナリストのクリス・ミッジリーさんは、「クッシングは内陸の都市で、原油貯蔵庫の容量は3週間で一杯になり、一度一杯になると、WTI原油先物取引は実物の受け渡しがより困難になる」と述べた。(編集KS)

「人民網日本語版」2020年4月21日

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