週末の休みが2日間では、1日目にゆっくり起きれば一日の半分が過ぎているし、2日目に起きると週末はもう終わりに近づいている。休みが足りない?もっと休みたい?こうした声も聞かれる中、最近、複数の地域で週休2.5日制が打ち出され、「もう少し長い週末」が現実になった。
複数の地域で「週休2.5日制」スタート
新型コロナウイルスによる肺炎が終息した後の消費市場の復興を促進するため、南京市は今月11日、感染症と闘い内需を拡大し成長を安定させる「四新」行動動員発表会を開催し、「新たな消費を育成し、ナイトタイムエコノミー(夜間経済)のブランドを構築し、週休2.5日制度を試行する」ことを打ち出した。
具体的には、各種企業が生産経営上の必要を満たすことを前提として、労働時間を合理的に設定し、毎週半日分の休み増加を柔軟に試行することを奨励し、条件を満たした事業機関が週休2.5日制をタイミングを見て試行することを支援するという。
実際には、週休2.5日制は目新しいものではない。2015年8月、国務院弁公庁は「観光の投資・消費の一層の促進に関する若干の意見」を発表し、「金曜日午後と週末をつなげる」週休2.5日制モデルを初めて奨励した。その後、10数省が同制度を奨励するとした。
そして今、感染症終息後の消費回復を牽引するため、複数の地域が週休2.5日制という弾力的な休み方を再び提起するようになった。文化や旅行消費をよりよく喚起するため、消費券の配布や金曜午後に観光地の入場料を半額にするなどの関連政策を実施した省もある。弾力的な2.5日間の休みの核心は消費にあり、休息にはないことがよくわかる。
気軽に旅行、楽しく消費が実現する
「本当に週休2.5日制になったらすごくうれしい。2日半あれば気軽な短距離旅行が十分に可能になる」。観光関連産業で働く趙さんはこのように話した上で、「週休2.5日制は観光業を非常に強く後押しすることになる」との見方を示した。
趙さんによると、「休みが半日分増えると、そこから生まれる消費シーンは実はまるまる1日分の休みに負けていない。金曜午後から旅行をスタートできるなら、観光客の多くが深夜便や寝台車に乗ったり、土曜日の早朝に出発したりしなくてよくなり、旅行がより快適になるし、ホテルも売り上げが1泊分増える。短距離ドライブ旅行なら、最近はガソリン価格が低いこともあり、絶好のタイミングだ」という。
外食業界関係者の話では、「週末2日間の客数は平日の2.5倍から3倍になる。休みが半日増えると外食業界への影響は客数にすぐに現れるだろう」という。
中国観光研究院の予測では、20年第1四半期の国内観光客数は前年同期比56%減少し、観光収入はさらに減って69%減少した。厳しい冬を迎えた観光業は少しでも早く春の日差しを浴びたいと考えている。
数日前、中央政府は文書を発表し、「全国的な文化・スポーツイベント及び省を越えた観光旅行などはしばらく再開を見合わせる」と明確に規定した。これはつまり、今後しばらくの間は、各地が力を入れる観光消費の回復では、省内の観光客が中心になるということだ。休みの0.5日分増加は、省内の中-短距離旅行の促進にはうってつけだ。
中旅総社(江蘇)国際旅行社の観光商品センターの崔健ゼネラルマネージャーは、「毎週2.5日間の休日制度が施行されれば、観光業界の回復に積極的な役割を果たす。特に短期旅行のニーズを満たし、近場のツアーの復活を大きく促進することになる。政策の支援の下、省内旅行が回復し開放されると、キャンピングカー旅行、農村観光、親子旅行の人気が爆発的に高まるだろう」と予想した。
北京工商大学観光・マーケティング学部の張運来准教授の予測では、「旅行会社がこの半日分の休みを深く掘り下げれば、年間の売上高が10%から15%増加する」という。
「996勤務でお金もない」休みたくてもそう簡単ではない
南京市のインターネット企業で働く王さんは、「南京にはインターネット、ソフトウェア、アウトソーシングの会社がたくさんあって、どこも『996勤務』(朝9時から夜9時まで週6日働く長時間労働)で、休みは隔週しかない。残業がないところが探すのが難しいくらいだ。最近、南京以外の多くの都市の顧客と話していて週休2.5日制の話になると、金曜午後に電話して仕事の話をしたら残業になるのかと、冗談交じりに言われたこともある」と話した。
ネットユーザーは、「誰でも休み直前の仕事が手につかない気持ちはよくわかる。金曜午後が休みになったら、おそらく金曜午前は仕事にならないだろう」と述べた。
しかし王さんは次のように話した。「自分は民間企業の会社員なので、週休2日制を享受できる人たちが『うらやましい、ねたましい、憎らしい』という気持ちを抑えられない。自分のような大多数の人にとって、会社が2日間休みをくれるだけでもありがたいことだ」。
国家統計局が発表した第4回全国経済センサスによると、18年末には中国の民間企業の割合は80%を超えた。多くの人が、週休2.5日制の現段階での最終的な受益者は仕事が安定した少数の企業・事業機関の人たちだけで、広く普及するのは難しいとみる。
北京交通大学観光発展・計画研究センターの王衍用センター長(教授)は、「目下、観光消費ニーズの発揮を妨げているのは、観光の動機でもなく、消費能力でもなく、休日制度が徹底的に実施されるかどうかわからないことだ。真っ先にやらなければならないのは社会全体が法律に基づいて休むという理念を強化し、有給休暇制度の実施状況を各地政府の議事日程に組み込むことだ」との見方を示した。
ネットユーザーは、「制度はいいが、サイフには金がない。1週間のうち6日が休みになっても、家にこもって寝ているか、テレビドラマを見るかで、気持ちに余裕があっても金銭的な余裕がない。感染症で長すぎる休暇になり、多くの企業はリストラしないだけでよしとしよう」と述べた。
財布の紐を締めて暮らすネットユーザーは、「自分に足りないのは休みではなくて現金。稼げなければ安心して使おうという気にならない」と嘆いた。(人民網日本語版論説員)
「人民網日本語版」2020年4月20日