故宮は「商業化」しすぎているのか?
実際のところ故宮が「飲食関係」において議論の的になるのはこれが初めてではない。
2019年3月、同じくこの角楼レストランが火鍋を提供したことで大きな話題となった。その時は、「天を奉じて運を承る、皇帝の詔曰く。火鍋のスープは万寿菊花鍋、タレは江山社稷醬。肉は科爾沁牛上脳」と書かれた皇帝の詔である「聖旨」のようなメニューが話題となった。
当時提供されていた鶏ガラスープに菊の花を浮かべた「万寿菊花鍋」は、火鍋が大好物だった清王朝末期に実権を握っていた慈禧太后が生み出したと言われている。漬けダレは、社稷壇の上に敷かれている五色の土(中央は黄色、東は青色、南は赤色、西は白色、北は黒色)にインスピレーションを得て、5色の薬味で、辛みとあまみがうまくハーモニーした味で、香りのよい仕上がりになっていた。
しかし、火鍋は大人気になった一方で、多くのネットユーザーから「火事の原因にならないのか?」と心配する声が寄せられ、故宮が「ホットプレートを使用しており、炭火を使った火鍋ではない」と「火消し」に走ったが、結局火鍋の提供は中止となってしまった。
近年、故宮は多くの人にとって親近感のある博物館になっており、各種文化クリエイティブグッズが大人気となっているほか、業界を超えて飲食分野にも進出し、コーヒーなども提供して、好評を博している。そのため、「故宮は、文化財・博物館業界における優れたインフルエンサーだ」と揶揄する声もあがっていたほどだ。
しかし、そうしたことも「商業化が過ぎる」という懐疑的な声が起きる原因となってしまった。その点、「適度な商業化は合理的な開発で、その收入を使って、文化財を保護するなら、何も悪いことはない。例えば、故宮の角楼レストランは神武門の外にあり、安全性がきちんと守られていることを前提に、そこで食事をしたり、休憩したりできる機能を適度に設置するのであれば、多くの人の故宮に対するイメージがさらに上がる」との指摘もある。
故宮のレストランに多くの人が予約をし、長い列を作ってでも食事に来たり、その文化クリエイティブグッズが大人気なったりしているのは、「故宮」というランドが背後にあり、その深みある文化を、多くの人が好んでいるからだ。
この点から考えると、故宮で火鍋を食べたり、年夜飯を予約して食べたりする人は、値段が高いか安いかではなく、そこで故宮の文化をじっくりと味わうことを重視していると言えるのではないだろうか。文化クリエイティブグルメの主な価値とはまさにその点にあるはずだ。(編集KN)
「人民網日本語版」2020年1月19日