中国国家文物局は10日午前の記者会見で、日本に流出した春秋初期の「曽伯克父青銅組器」が中国へ返還されたと発表した。中央テレビニュースが報じた。
中国に返還後、国家文物局から指示を受けた国家鑑定委員会や関連分野の専門家は鑑定と科学的検査・測定を行い、「曾伯克父青銅組器」は国家一級文化財に認定された。湖北省随州市の春秋初期曽国上級貴族墓で出土した同文化財は、錆の腐食状態などの分析の結果、近年に盗掘されたと断定された。
「曽伯克父青銅組器」は鼎(てい)、簋(き)、甗(げん)、霝(れい)、盨(しゅ)、壺(こ)の計8点が1組となっており、種類が豊富で、作りが精巧で、保存状態も良い。また、それぞれに銘文があり、合計330字に及ぶ。「曾伯克父」の器物群は今のところ発見されていないため、歴史的、文化的情報に富む同文化財は、春秋時代の文化や古代・曽国の家父長制、青銅器の時代区分、製造技術などを研究するうえで、重要な学術的価値を備えている。
国家文物局の関強・副局長は、「曾伯克父青銅組器は、中国が近年、世界のオークションにおける違法取引を阻止し、海外からの返還に成功した文化財の中で、最も価値の高い文化財だ。文化財の返還は、文化財関連当局が公安機関、在海外中国大使館と協力し、返還のためにベストの方法を選び、共に努力した結果だ。中国が関連の国際公約に基づき、日本政府の協力の下、日本に流出した文化財の返還に成功したことは、世界に流出している文化財の追跡捜索と返還という分野の新たな成功例となった」との見方を示した。(編集KN)
「人民網日本語版」2019年9月11日