これまで、中国では高速鉄道駅は郊外に建設されることが多く、中心市街地から離れていたため、交通の便が悪いというケースも多かった。しかしここ最近、一部の都市は人々の移動をスムーズにするために高速鉄道を中心市街地に引き入れる計画を立てている。
広東省仏山市がこのほど発表した情報によると、同市は広州と湛江を結ぶ広湛高速鉄道のターミナル駅を中心市街地に建設するほか、広州、深セン、香港地区を結ぶ広深港高速鉄道を仏山西駅まで延伸し、粤港澳大湾区(広州、仏山、肇慶、深セン、東莞、恵州、珠海、中山、江門の9市と香港、澳門<マカオ>両特別行政区によって構成される都市クラスター)の高速鉄道建設戦略と結びつけて、仏山を中国の「八横八縦」高速鉄道ネットワークに組み込みたい考えだ。
昨年11月に可決した「広州総合交通ターミナル総計画(2018—35年)」も、広州駅と東駅を鉄道中心駅にすることに初めて言及。高速鉄道が市内を走るようにし、広州駅と広州東駅の一体化改造を実施して、広深港高速鉄道に市内連絡線、京広高速鉄道に広州駅連絡線を設置し、三眼橋と新塘をつなぐ路線を敷設して、高速鉄道線路の中心市街地への引き込みを実現させたい考えだ。
今月、広州市鉄道交通一体化計画研究や広州東駅総合交通ターミナル計画プロジェクトの入札も始まっている。入札公告によると、広深港高速鉄道を広州の中心市街地に引き込むことを重点的に研究するとしている。現在、広深港高速鉄道は既に開通して運行をスタートさせているものの、広州南駅は広州市内から南に20キロの位置にあり、中心市街地の多くの利用客にとってアクセスが不便となっている。今回の研究は広州の中心市街地と香港地区の往来の不便さを解消し、真の意味で広州、深セン、香港地区を繋げる高速鉄道にする計画だ。
実際には、仏山や広州よりも先に、北京や上海、深セン、天津などの大都市が、高速鉄道を中心部に引き入れ、高速鉄道と大都市の中心市街地を有機的につなげている。
多くの中心都市における高速鉄道の中心市街地への引き入れは、高速鉄道駅がこれまでは中心市街地から離れていたという問題における一つの解決策でもある。例えば、広州の主要な高速鉄道駅である広州南駅は、広州市街地から南に20キロの位置にあり、広東省以外の地域に出かけたり、長距離移動の利用客にとってはそれほど大きな問題にならないものの、中距離、短距離の移動を予定する利用客にとっては、非常に不便となる。
例えば、広州の中心市街地から南駅まで、地下鉄で行くと1時間近くかかる。実家が湛江にあり、現在広州で働いているという男性の黄さんは、「江門から湛江まで、鉄道は200キロで走り、広州から湛江まで3時間。広州市街地から広州南駅までの時間と、湛江駅から湛江市内までの時間を考えると、5時間近くかかる。高速道路と比べても、鉄道の時間的メリットは小さい」と指摘する。
つまり、高速鉄道駅が市街地から遠い場合、中距離、短距離の移動を計画する利用客にとっては不便で、高速鉄道の都市圏における基礎的役割が十分に発揮されない状態となる。そのため、高速鉄道を市街地に引き入れることは、中距離、短距離の移動を計画する利用客にとって便利になり、都市圏の一体化加速につながる。
昨年5月、中国国家発展改革委員会、自然資源部(省)、住房・城郷建設部(省)などが共同で発表した「高速鉄道駅周辺地域の合理的な開発・建設推進に関する指導的意見」は、高速鉄道駅の立地は、土地利用全体的な計画や都市の全体的な計画にマッチしていなければならず、高速鉄道のアクセスの良さと、高速鉄道駅周辺の開発、建設とうまく融合させ、技術的基準という条件を満たすだけでなく、地域の発展に貢献する必要がある。鉄道を新たに建設する場合は、都市を分割することをできるだけ避け、高速鉄道を便利に利用できるように、都市の中心市街地、または既成市街地の近くに新たな駅を設置しなければならないとしている。
高速鉄道を中心市街地に引き入れる中国の都市増加中 そのワケは ?