北京にある西西弗書店の様子(資料写真)
2012年の年末、「実店舗の書店の倒産ラッシュ」というニュースをよく目にしたものだった。こうしたニュースはその当時、実店舗書店の経営状況が思わしくなかったことを反映していたと言える。しかし、ここ5年ほどは、中国政府が各種サポート政策を打ち出しているのを背景に、実店舗は「インターネット+書店」、「文化+書店」などへと舵を切り、発展を目指している。そしてそのおかげで17年、実店舗書店の売上高は2.33%増の350億元 (1元は約16.33円)に達した。また、18年上半期、書店チェーンの実店舗の売上高は前年同期比10.9%増となった。光明日報が報じた。
中国党刊網が最近、貴州省貴陽市で実施したある調査によると、新型の実店舗書店が特に若者の間で人気となっている。調査に答えた386人のうち、読書の習慣がある人の職種で最も多かったのは、事業機関の職員/公務員で50%。以下、企業(私営/国有)の従業員は37.5%、学生が12.5%と続いた。これら3グループは、書店で本を買う習慣がある人も多い。年齢別に見ると、本を購入する主力軍は23-28歳の若者だった。1日に本を2時間以上読むと答えた人の割合は37.5%で、半数は1ヶ月に1度は書店に行っていると回答。また、全体の57%が実店舗の書店に行って本を買うと答えた。回答者の多くは、「インターネットで本を買うことが一番多いものの、実店舗書店に対する需要は依然としてある」との見方を示した。
オンラインによる本購入が実店舗書店のモデル転換・高度化促す
ここ5年、オンラインショッピングの発展が本の販売を大きく促進している。開巻信息公司が発表している統計によると、中国のオンラインによる本の売上高は12年の130億元から17年には459億元にまで急増した。
オンラインプラットホームの競争は、実店舗書店のモデル転換・高度化の促進、加速につながっている。実店舗書店などの小売業態は、オフラインのメリットを十分に活用し、スペースデザインや文化レクリエーション、個性的な読書体験どの特徴を売りにした書店チェーンが中国各地で次々に誕生している。貴州にある「西西弗書店」を例にすると、書店のほか、矢量カフェ、不二生活・文化クリエイティブ、7&12ReadingCall・児童読書体験スペース、推石文化などのブランドを立ち上げている。現在までに、西西弗は中国全土のおよそ60都市に、実店舗の書店約170店舗、イタリアンカフェ約170店、アクティブ会員350万人を抱えている。
調査によると、多くの人は書店に行って、趣味関連の書籍を探している。オンライン書店と比べると、回答者の85%が「環境や雰囲気が実店舗のメリット」と答え、理想の実店舗の書店について、87.5%が「書籍の品揃えがいい」、「美しくて静かな環境」を挙げた。
業界関係者は、「新型の実店舗書店の魅力は、空間の雰囲気。特徴ある内装、優雅な雰囲気を醸し出す棚や陳列スタイル、店内の温かく柔らかな照明、コーヒーの香りなどが魅力となって、多くの客を惹きつけている。集客力や転換率が上がると、書店も利益が出る」と分析する。そして、西西弗の金偉竹・董事長も、「1日の来客数が1000人になると、年間売上高500万元以上を確保できる」話す。
深セン出版発行集団党委員会の書記で総経理の尹昌龍氏は、「新型の実店舗書店は、本の売り場から文化スペース、生活レクリエーションスペースへの転換を実現した。書店は文化イベント開催の頻度を増やし影響力を向上させることで、伝統的な公共文化スペースを大きく超える影響力を持つことができる。一部の書店は、本を買ったり、借りたりできる機能のほか、図書館の一部の機能も備えるようになっている」と説明する。(編集KN)
「人民網日本語版」2018年11月30日
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