今から2年前、フランス人のGuillaume De Roquefeuil氏は、中国から母国フランスに帰国した後、非常に「暮らしづらい」ことを実感したという。なぜなら8年間におよぶ中国生活においてアリペイ(支付宝)や微信(WeChat)などを使うことに慣れきってしまっていたからだ。しかし母国に戻ると、微信で仕事をしたり、中国の友人たちとのやり取りがスムーズにできなくなってしまった。特に、微信やアリペイを使ったモバイル決済やショッピング、タクシーの利用といった消費ツールが使えないことで、欧州と中国とのギャップを痛感したという。科技日報が伝えた。
また、フランス銀行の統計データによると、中国人観光客はいまやフランス観光業におけるEU圏外最大の「顧客」という地位を手にしている。そしてRoquefeuil氏は、中国人観光客の多くがフランスで買い物するには現金を持ち歩かなければならず、それはとても不便で安全ではないことに気づいた。
こうしてRoquefeuil氏は2016年5月、フランスさらには欧州での中国人観光客の消費に便宜をもたらすだけではなく、フランス国内のメーカーが中国市場に参入する上で有利となるデジタル化マーケティング・プラットフォーム「Euro Pass(欧州通)」の構築に着手し始めた。
彼のこの試みはフランス政府からの支持を得て、Euro Pass本社をパリのスタートアップ支援団体「Paris&Co」の観光革新型産業インキュベーター内に設置することを特別に許可された。昨年3月から6月にかけて、Euro Passは、世界最大の科学技術起業アクセラレーター「Plug and Play」に入選した。
Euro Passは、中国個人旅行市場の動向やニーズに積極的に寄り添い、欧州の著名旅行関連企業および政府関連機関約100社に「ワンストップ式デジタル化マーケィングプラン」を提供、今年7月にはデジタル化立体生態システムの構築にも着手した。
中国人観光客がEuro Passを使用する際には、Euro Pass微信公式アカウントをフォローするだけで、出発前に人民元での支払いが可能となり、オンラインで欧州旅行に必要な商品やサービスを予約できる。ヨーロッパ現地に到着した後、中国人観光客は現地の商店や観光スポットといったオフラインサイトでも直接微信またはアリペイを使用してスピーディな決済をすることができる。
現在Euro Passは世界最大の免税手続サービスを提供するグローバルブルーや中国電子決済大手・威富通科技有限公司などの企業から、数百万ユーロドルのシリーズAラウンド投資を獲得しており、株主レベルでの戦略的パートナーシップ合意を取り交わしている。三方は全世界規模で、モバイル決済や加盟店の付加価値増加、微信による税金払い戻しなど、多角的な深いレベルでの業務を展開している。
今後はEuro Passが欧州ブランド高級店内でのデジタル体験の完備に尽力していくことで、観光客は購入商品をスキャンするだけで税金の即時払戻スピードサービスを受けることができるようになるとしている。また、海外における人民元モバイル決済を利用することで、消費者は銀行手数料を節約することもできる。
Euro PassのCEOを務めるRoquefeuil氏は、「欧州の個人旅行市場を開拓するという果敢なチャレンジによって、中国人観光客の需要にジャストフィットした便利でスピーディなツールを提供することは、人々をワクワクさせることだ。我々は今後も、このデジタル生態システムを絶え間なく改善し、中国・欧州の旅行関連電子商取引プラットフォームを大々的に開拓することで、中国人観光客が快適に欧州旅行を楽しみ、携帯端末を通じて全ルート・多次元の旅行体験を得られるようサポートしていく」と語った。(編集KM)
「人民網日本語版」2018年8月7日
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