大量のデータの中から法則性を見つけ出すのは、人工知能(AI)の最も得意とするところだ。それでは抽象的な政策の分析の中で、AIはどのように振る舞うだろうか。最近、日本の研究者がAIを利用して、ここ数年来振るわず、成長力の乏しい日本経済について診断を試みた。AIはなんと不振の主な原因を、「40歳の男性が結婚しないこと」と判断した。「環球時報」が伝えた。
このような経済学の基本的概念を用いない経済分析は信頼できるのだろうか。AIの思考回路に従えば、一定の道理があるといえる。AIの考える筋道はこうだ。「40歳の男性がいて、一般的に20年近く働いており、職場ではそれなりの地位についていて、給与は新入社員の2~3倍になる。適齢期に結婚していれば(日本の男性の平均結婚年齢は30.5歳)、40歳になった時には小学生の子どもの1人もいるはずだ。子どもは塾に行くだろうし、大学に行くための学費の積み立ても必要だ。子どもが成長すれば自分の家を買うことになり、手持ちの資金が足りなければ、銀行からローンで借りる……つまり、40歳の男性が60歳で退職するまでの20年間は、着実に、『高い強度』で消費が続く期間ということになる。関連の調査結果によれば、日本の働く男女の40歳時点での非婚率は約37%に達する。こうして結婚していればあったはずの消費能力が埋もれていく。消費がなければ経済が牽引されることもない」という。AIの視点は的確で独特だといえる。
現在、日本企業は慢性的に人手不足で、新入社員の約3割は3年以内に辞めていく。この問題を解決するためにAIに何ができるだろうか。IT(情報技術)会社の実践例がある。この企業は全社員の日常の行動(何時に休憩を取り、休憩時間にお茶を飲むか談笑するか、退社後は酒を飲むか映画を見るかなど)をすべてデータベースに打ち込み、一定間隔ごとに、コンピューターが一連のミニアンケートを作成して社員に、「最近はどうか」、「映画を見たか」、「これこれのプランは順調に終わったか」などと訪ねる。回答を回収してAIを利用してビッグデータ分析を行い、一人一人の微細な心の変化を読み取る。こうして新人と幹部社員との違いが迅速に可視化される。企業は自分の心のざわつきを自覚していない新入社員に方向性をもって配慮し、処遇を意識的に改善することが可能になる。この方法を人材の流動性が高い企業で採用すると、離職率が15%低下した。また企業が効率を高めるにはどうすればよいかについて、AIが出した結論は、「大勢の部下をもった管理職が、11時間働いた後で下す決定が最も正確」というものだった。AIは私たちに、「午前中の会議は5分を超えてはならない」、「一日に開く会議は3回を超えてはならない」とアドバイスし、「メールは150字以内」にすれば効率を保証できるという。
現在、日本のAI開発企業が研修クラスを開催し、AIにさまざまな企業の業務上のルールを研究させており、企業は専門家の指導の下でそれぞれ独自のAIシステムを開発する。だがAIの開発者と利用者との間には価値の認識のズレが生じるとみられ、これが客観的にみてAIの応用計画を阻害しているといえる。たとえばエアコンメーカーの修理メンテナンスセンターがユーザーから故障の連絡を受けたとする。小さな故障に過ぎないものが、AIのデータ分析予測による結論では、「中規模修理が必要」となる。ユーザーがAIの提案を全面的に受け入れるとも限らない。小さな故障が中規模修理になり、メーカーは修理コストが増大し、財務計画に影響を与える可能性もある、といったズレだ。(編集KS)
「人民網日本語版」2018年8月7日
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