「雨風から守るために、ずっと、子供に傘をさしてあげるより、子供が自分で傘をさせるように教えるほうがいい」。これは、最近刊行された中国語版「釜石の奇跡——いのちを守る特別授業」の表紙に書かれているメッセージだ。同書の出版発表会が5日、北京の中国科学技術館で開催された。中国新聞網が報じた。
2011年3月11日、東日本大震災が発生し、巨大津波が岩手県釜石市を襲った。津波は甚大な被害をもたらし、市民1000人以上が犠牲、行方不明になった。しかし、釜石小学校の児童184人は一人の犠牲も出すことなく、全員無事だった。今でも、この子供たちの避難と避難誘導が、「釜石の奇跡」と呼ばれて称賛されている。児童184人は自分たちの力で生き延びただけでなく、大人顔負けの判断力と行動力を発揮し、自分だけでなく、周囲の人の命をも救った。「釜石の奇跡」は、日本の長年の防災教育のおかげだ。
東日本大震災の際に、釜石市で実際に大津波を経験した柏崎楓さんは取材に対して、「本当の津波は普段想像しているのとは全然違う。そのため、その時の実際の状況に基づいて、どうやって避難するかを決めることがとても重要」と話す。
大津波が発生した時、柏崎さんは、海岸から500メートルも離れていない釜石市立東中学校にいた。地震が引き起こした未曽有の規模の津波から避難する過程で、柏崎さんと同級生らは、2度場所を変えて、やっとみんなが安全に避難できる場所へと移動できた。「私と同級生が生き延びることができたのは普段学校で防災教育を受けてきたことで培ってきた危機意識があったから」と振り返る。
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