華為は米国と中国でサムスンへの訴訟を同時に起こしたが、実際にはこの2カ国での成果だけを狙っているのではない。華為によれば、サムスンは世界規模で華為の知財権を使用し、多くの国で販売する製品に華為の特許が数多く使用されている。華為としてはすべての場所ですべての特許侵害行為に対して訴訟を提起することは不可能だが、世界規模で問題が解決することを願ってもいる。なお華為は今回の訴訟で支払いを求める具体的な賠償金額は明らかにしていない。
▽訴訟の狙いはサムスンを超越・制圧すること
アップルとサムスンの特許訴訟では主に外観とソフトウェアが問題にされていたのとは異なり、華為は基礎的通信技術の特許を大量に保有する特許権者だ。特に4G技術で相当な数のコア特許を保有しており、これらは携帯電話製品にとってより重要なものといえる。
華為にしてみれば、特許侵害訴訟を提起したのは、ライセンス料の回収が最も重要な要因ではなく、訴訟を通じ携帯電話市場においてサムスンを超越し、サムスンを制圧することが主たる目的だ。グローバル携帯市場で、華為はアップルとサムスンに次ぐ3位の座を確実なものにしている。また華為の端末会社の余承東会長はさまざまな場面で、「サムスンを追い越したい」とたびたび発言している。今回の裁判で勝てば、華為の目標達成は大きく後押しされることになる。つまり、今回の訴訟で華為が勝訴側になれば、世界のスマートフォン市場の局面に直接影響が及ぶということだ。
実際、サムスンだけではない。華為はアップルに対しても特許での優位性を築きつつある。国家知的財産権局が発表した最新の特許登録情報によると、昨年に華為がアップルにライセンス使用許可を与えた特許は769件、一方、アップルが華為にライセンス使用許可を与えた特許は98件だった。華為は圧倒的な特許件数でアップルを大きく引き離している。通信技術企業である華為にとって、その研究開発投資や特許ストックでの厚みが、携帯電話市場で「追い越しをかける」上での有力な武器になる。(編集KS)
「人民網日本語版」2016年5月26日