日本の製品は人気を集めているのに、日本企業の「EC化」はなぜ遅々として進まないのだろう?それは、日本では実店舗商売が高度に発達しているためだ。日本では、デパートやスーパー、専門店(ドラッグストア)、コンビニなどが、便利で完備されたビジネス圏を形成している。コンビニだけでも日本全国に5万3千軒存在し、主要都市の住民は徒歩15分の範囲内で様々な需要が満たせる。日本のECサービスの多くは「通信販売」から発展してきたもので、オンライン化しても、定期的に商品カタログが郵便で届く。
日本国内の市場競争は十分で、価格体系も成熟しており、消費者は海外の通販サイトで安い商品を買ったり、安価なコピー商品を買うといったことが無い。また、送料が高く、ネットで購入しても実店舗で購入しても価格がほぼ同じだ。さらに、日本式のサービスでは、顧客との1対1のコミュニケーションを大切にしている。同じ化粧品を買うのでも、カウンターで店員に紹介されるかどうかで大きな違いがあるのだ。
また、日本企業の保守的な態度もECの発展を妨げている。特に中国や東南アジアといった新興国に対し、多くの日本企業は自国でのやり方を通そうとして失敗している。日本企業に中国業務のコンサルティングを提供する専門家は「5~6年前に、日本の有名な化粧品メーカーに中国でEC市場を開拓するようアドバイスしたことがある。だが、この会社は全く興味を示さなかった。最近になり、代理購入市場が発展したのを見て、やっと気づいたようだ」と語る。今や、中国の巨大な市場ニーズに後押しされ、日本もEC改革を断行せざるを得なくなっている。このほか、高齢化も日本のEC市場の発展が緩慢な原因の1つかもしれない。