中国科学技術部(省)国家リモートセンシングセンターは4日、「世界生態環境リモートセンシング観測2014年度報告書」を発表した。報告書は「大口食用油用穀物の生産情勢」「大規模かつ国際的に重要な湿地」「アフリカ土地被覆」「中国―ASEAN地域生態環境状況」の4つのテーマに分かれている。中国は世界生態環境観測の持続的な研究と革新により、世界と競争・協力する積極性を手にし、世界的な発言権を強化した。専門家は、「世界生態環境リモートセンシング観測分野において、中国は米国・EUと鼎立し、国際環境観測データの最も重要な発表源となっている」と指摘した。人民日報海外版が伝えた。
◆世界の湿地をリモートセンシング解析
「大規模かつ国際的に重要な湿地」は今年追加された観測内容で、世界で初めて衛星リモートセンシング技術を使い、大規模かつ国際的に重要な湿地の観測・解析を行い、その生態環境の状況を独立的・客観的に評価した。報告書によると、100の大規模かつ国際的に重要な湿地の面積は2001−2013年に安定を維持した。
湿地は人類が生存・発展するための重要な環境資本だ。世界的に重要な湿地の生態システムの変化状況を適時把握・理解することは、湿地の研究と管理に対して非常に重要な意義を持つ。報告書は、「湿地生態システムへの干渉、もしくは退化の程度の変化の過程に対する観測によって、湿地の管理・方針決定をサポートすることができる」と指摘した。
◆30メートルの精度でアフリカを観測
中国科学院リモートセンシング応用研究所の研究員である宮鵬氏は、「今回発表されたアフリカ土地被覆図は、空間分解能が30メートルの図だ。米国と欧州が発表した世界の土地被覆図の精度は、100メートルに留まっている」と指摘した。
「アフリカ土地被覆」は、複数の衛星のリモートセンシングデータに基づき、最新のアフリカ土地被覆データベースを作成した。アフリカの人口・食糧・健康・生物多様性の保護といった問題は、世界が注目する問題だ。衛星リモートセンシングには、カバー範囲が広く、観測の頻度が高く、人件費がかからないというメリットがある。エチオピアを例とすると、土地被覆図を見ることで国内の主な河川と湖沼の位置が分かる。これは生物多様性の保護、漁業の発展に対して重要な意義を持つ。(編集YF)
「人民網日本語版」2015年6月5日