劉潔コーチと平野美宇選手　「親子」の中日卓球コンビ　 (2)

■理解し合う

平野美羽選手が以前憧れていた選手は、張怡寧選手、今は、劉詩雯選手。好きなことは、お菓子を食べること、きれいなスカートを買うこと。普段よく聞く音楽は、AKB48の歌…。半年もたたないうちに、劉潔氏は平野選手の趣味や好きなものから気性まですべてを把握した。

昨年の全日本選手権の試合前、平野選手はインフルエンザにかかってしまい、練習を始めることができたのは試合前日だった。非常に苦労しながらも、平野選手は17歳以下の部の決勝戦に進んだ。劉潔氏の気持ちは平野選手の得点や失点とともに上下した。最終的に平野選手が試合に敗れた時、何度か卓球台を見た様子とそのまなざしで、劉潔氏には平野選手の当時の口惜しさが手に取るようにわかった。劉潔氏は、その時のことについて、「すぐに走っていき、出口で平野選手を待った。出てきた平野選手は、泣きじゃくっていた。その様子を見て、私も非常につらくなり、平野選手を抱きながら一緒に泣いた」として、「平野選手が試合で負けて泣いた経験は、あれが最初で最後だ。平野選手が勝つために必死で努力していたことを知っていたから」と振り返った。2人が抱き合いながら泣いた後、平野選手は普段厳しい劉潔コーチの自分に対する深い愛を感じた。平野選手は、「私のためにコーチが泣く姿を初めて見た。その時に、お互いの距離が近づいたような気がした。でも、怒っていないときの劉コーチは、母親のように優しい」と語る。