14日付豪紙「チャイニーズ・メルボルン・デイリー」紙のトップ面に、「息子へ」という見出しの全面広告が掲載された。広告には、「お父さんもお母さんも、もう決してあなたに結婚しなさいと急かしたりしません。今年の春節は、家で一緒に新年を祝いましょう」と書かれていた。中国にいる母親は、さまざまな『つて』を使って同紙に息子へのメッセージを掲載し、家で一緒に新年を祝おうと息子に呼びかけた。多くの人が、この母親の心情に感動した。広州日報が伝えた。
○両親から結婚するよう急かされた息子が電話に出なくなった
この母親から依頼されて広告を出した苗氏は、その経緯について次の通り説明した。
この中国人女性は広州在住で、息子がメルボルンの大学に留学、卒業後もメルボルンに留まり働き始めた。彼女と夫はここ数年、息子が帰国するたびに、早く良い女性を見つけて結婚するよう催促していたが、一向にその気配がなかった。今年も、旧正月が近づきその話題が頻繁に蒸し返されるようになり、焦りを募らせた息子は、とうとう両親からの電話に出なくなり、広州の両親は息子と連絡が取れなくなった。両親はやむを得ず、息子と連絡が取れるよう、オーストラリアの友人に依頼して、メルボルンで最も有名な華字紙に広告を掲載することにした。両親は、息子がこの広告を見て、両親の心情を慮り、実家に戻って一緒に新年を祝うようにと、ひたすら願っている」。
○たちまちネット上で話題に:「海外の子供に結婚を急かすなんて行き過ぎ」
14日、メルボルンに住む中国人は、トップ面に掲載されたこの全面広告に目を奪われ、このニュースは微博(ウェイボー)でたちまち広まり、ネット上は「海外に住む息子に結婚するよう急かす中国の母」の話題で持ち切りとなった。多くの同情の声と共に、さまざまな意見も挙がった。
14日夜、微博の人気アカウント「Happy張江」さんもこのニュースを転送、「これは、残酷極まりない現実だ。中国の母が、オーストラリアに住む息子に、現地新聞のトップ面で『もう結婚するよう急かさないから』と訴えているが、その本心は、里帰りした息子と一緒に新年を祝いたいだけだ」とため息混じりにコメントした。また、「私も行方不明になりたい!結婚を急かされるほど恐ろしいことはない」と投稿したネットユーザーもいた。
○若者達が受ける社会からの重圧:「年越しで帰省すると結婚を急かされる」
「中国の母が息子に結婚を急かす」という状況は、社会全体が関心を寄せる普遍的な問題となっている。「年越しのたびに結婚を急かされる」―――20歳過ぎから30歳の若者は皆、この重圧に黙って耐えている。新年を迎えるたびに、親戚や友人から「恋人は出来た?」「いつ頃結婚するの?」と質問攻めに遭うのは、多くの若者にとって避けては通れないことだ。さらには、新年お見合いパーティで相手を見つけようと企てる人も大勢いる。
就業難の深刻化、住宅価格の上昇、給料に比べて増加幅の大きいCPI(消費者物価指数)増加率など、様々な圧力が積み重なってできた「大きな山」が若者に迫り、教育年数の延長、高学歴者の増加、恋愛チャンス・期間の減少といった現状の中で、晩婚化がますます加速している。「親不孝には3つあるが、後継ぎがないのが一番の親不孝」という伝統的な考え方も、独身男女が受ける精神的なプレッシャーに追い打ちをかけている。(編集KM)
「人民網日本語版」2014年1月17日