今年も「春運(旧正月の帰省・Uターンラッシュに伴う特別輸送体制)」という年に一度の大芝居の幕が開いた。その内容は、「実家に帰省して新年を祝う」というシンプル極まりないもので、中国人ひとりひとりが「主役」となり、延べ36億2300万人が40日間にわたる「世界最大規模の人口移動」を演じる。この劇は、一部の外国人にとっては「視覚的に壮観な奇観」であり、中国交通部門にとっては「年に一度の悪夢」だ。過去60年の春運の足跡を辿ると、最初は馬車だった移動手段は、今では自家用車・高速鉄道・飛行機に変わった。春運の交通混雑を解決するため、中国政府は最大限の努力を払い続けているが、「一枚の切符さえ入手困難」という国民の不満は、収まるどころか増える一方だ。観客席で春運劇を観賞する海外・国内メディアから、どれほど大きな拍手やヤジが飛ぼうと、帰省する人々の足どりを妨げることはできない。北京大学の張頤武・教授は、「一般市民の心の底には、『春運=実家に戻り家族と集うこと』という公式がある」と指摘した。環球時報が伝えた。
米ビジネスニュースサイト「クオーツ(QUARTZ)」は16日、「中国人の春運はまさに圧巻だ。中国人のほとんどが、年に1回しか帰省しない。中国人にとって最も大切な祝日・春節の前後40日間、中国交通部門の旅客輸送量は延べ36億2300万人に達する見込みだ。これは、世界最大規模の年一度の人口移動であり、中国の国内交通システムに極めて大きな圧力がもたらされる。連日長い間続く大渋滞、飛行機の遅延、入手困難な鉄道切符を何とか手に入れようとする焦りなど、国民が負う重圧も相当なものだ」と報じた。
米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは、「中国は、国民の移動が非常に激しい国で、特に旧正月期間中は著しい。政府は、2014年1月31日から2月6日の1週間を公定祝祭日と定めている。これは決して長い休暇とは言えないが、故郷を離れて働く就労者の大部分にとっては、数少ない長期休暇だ」と報じた。また、聯合ニュースは、「学生、都市就労者、出稼ぎ労働者の帰省ラッシュが重なり、中国の交通システムは巨大な試練に直面することになる」と伝えた。
鉄道輸送は、これまでずっと、春運の「台風の目」だった。ロシア紙モスコフスキ・コムソモレツ(Moskovsky Komsomolets)は、「中国鉄道部門は40日間の『非常事態』に突入したと宣言した。昨年12月23日以降、鉄道切符の販売枚数は一日700万枚を上回っている」と報じた。BBC(英国放送協会)は、「中国では、人々が春節という言葉を聞いてまず思い浮かぶのは、『鉄道の混雑』と、春運切符が『一枚さえも入手困難』な状態が長期にわたり続いているという状況だ。今年の春運は、元鉄道部(鉄道省)が解体され、新体制が成立して迎える初めての春運となった。新しく創設された中国鉄路総公司は、大きい御旗を掲げたが、鉄道切符購入ソフトとネット上の『ダフ屋』という難敵に苦戦している。鉄道は春運の代名詞となっているが、鉄道の旅客輸送量が春運旅客輸送量全体に占める割合はそれほど大きくない。今年の春運の鉄道旅客輸送量は延べ2億5800万人と予想されている」と報じた。
16日付ドイツ「政治フォーラム(電子版)」には、乗客で溢れ返る中国春運の鉄道駅の写真が掲載され、「ドイツの駅や鉄道がこのような状態になれば、インフラのキャパシティが限界を越え、機能不能に陥るだろう」と、深い感嘆とともに報じられた。(編集KM)
「人民網日本語版」2014年1月17日