4.教育・科学技術・文化面の改革・発展を推進する
①教育の公共性のレベルを区分したうえで、各種教育に対する財政支援政策を完全なものにする。教育の改革・発展をはかるうえでの肝心な分野と脆弱な部分の問題解決をサポートするとともに、財政による教育関連経費使用に対する管理をより強化する。農村の就学前教育の資源を拡大する。農村において義務教育段階にある生徒一人当たりの事務経費の補助基準を適宜引き上げ、貧困地区における義務教育の基盤が手薄な学校の基本的運営条件を改善するとともに、都市・農村義務教育のバランスのとれた発展の推進に大いに力を入れる。特殊教育学校の生徒一人当たりの事務経費の補助基準を逐次引き上げる。また、現代的な職業教育の発展を加速させ、改革・実績志向型の、高等職業大学の学生数に応じた運営経費配分制度を確立し、充実させるとともに、企業、個人、社会を主体とした多ルートでの職業教育への投資が行われるようにする。内包的発展に向けて、大学予算配分制度改革に関する諸般の措置の徹底化をはかる。教育管理の情報化を実現し、出稼ぎ労働者に随伴して都市部に移ってきた子供たちの地域間移動の状況を踏まえた上で、関連の測定・計算手法を整えるとともに、移動先の地域への移転支出を増やす。②科学技術管理体制の改革を深化させ、イノベーションによる発展促進戦略が着実に実施されるようバックアップする。中央財政の科学研究プロジェクトと同資金の管理を改善・強化して、基礎研究への投入をさらに増やすとともに、基礎的、戦略的、先端的な科学と汎用技術の研究への支援体制を整備し、技術革新を市場指向に導く仕組みを健全化する。国家科学技術重要特別項目の企画・実施・管理体制の改革を推し進め、特別資金の実績管理をより強化する。中央財政の科学技術特別項目の合理化・統合を踏み込んで推し進め、各種の科学技術計画(特別項目や基金など)の実績評価、動態的調整、中止の仕組みを確立する。科学研究成果の処分・収益分配政策の策定を急ぐ。国家科学技術成果実用化誘導基金を立ち上げ、科学技術型中小企業向けベンチャーキャピタル誘導基金に関する政策を充実させる。③公共文化サービスシステムの整備を支援し、文化産業の健全な発展を促す。公共文化資源の整理・統合と統一的利用を促進し、農村部や中・西部の貧困地区を重点に基本的公共文化サービスの標準化と均等化を推し進める。全国民を対象としたスポーツ、健康増進運動を促進し、大型体育館・競技場の無料または低料金での開放を支援する。文化産業発展特別資金の役割を効果的に発揮させ、文化創造・デザインサービスが関連産業と融合的に発展するよう大いに促す。
(三)2014年度の収支予算
わが国の経済・社会発展の中・長期的な趨勢の変動や、今後数年間に発生しうる各分野への支出におけるニーズ、党中央と国務院が定めた2014年度経済・社会発展の所期指標と重点任務を踏まえたうえで、歳入予算の編成に当たっては、しっかりと実情に即して、積極的かつ確実な措置を講じつつ、ゆとりを持たせ、歳出予算の編成に当たっては統一的計画と各方面への配慮に立脚しつつ、重点を際立たせ、予算配分にメリハリを付ける。以上の原則に則って、公共財政予算と政府系基金予算、国有資本経営予算、社会保険基金予算を以下のように統一的に編成した。
1.公共財政予算
中央財政収入は6兆4380億元で、2013年度の執行額と比べ(以下同)7%増とする。ここで説明を必要とするのは、党の第18期3中総の決定の主旨に基づいて、歳入予算編成が義務的目標から所期的目標に変更され、歳入の目標数値も拘束性をもつものから所期性をもつものに切り替わったという点である。さらに、これに中央予算安定化基金からの繰入金1000億元を加えると、歳入総額は計6兆5380億元となる。中央財政支出は9.3%増(予備費を差し引くと8.6%増)の7兆4880億元とする。その内訳は、中央レベルの支出が2兆2506億元、中央から地方への租税還付と移転支出が5兆1874億元、中央財政の予備費が500億元である。歳入総額から歳出総額を差し引くと、中央財政の赤字額は9500億元で、2013年度より1000億元増となる。中央財政の国債残高限度額は10兆708億3500万元とする。中央予算安定化基金の残高は483億800万元とする。
図3 2014年度中央財政予算のプライマリー・バランス