中国の対外投資は2014年も昨年の好調な流れを引き継ぎ、海外M&Aが活況を維持している。レノボ・グループはこのほど、IBMのサーバー事業「X86」の買収を発表し、自動車部品大手の万向集団は、経営破綻した米フィスカー・オートモーティブ(高級ハイブリッド車製造メーカー)の資産買収を許可され、金山開発・ジュエリー製造販売大手の金葉珠宝公司は米ガス生産企業の買収を検討している。上述したM&Aは、経済が回復に向かう米国が依然として、中国企業の海外進出の重要な目標であることを示した。人民日報が伝えた。
米ロジウム・グループの発表した統計データによると、中国の昨年の対米投資は倍増し、140億ドルという最高記録を樹立した。そのうち民間企業の対米直接投資が急増の流れを示した。中国民間企業の対米投資は、2011年までは全体の30%しか占めていなかったが、2012年は54%と大幅に上昇し、2013年には76%に達した。投資先も拡大されており、食品、不動産、エネルギー、情報技術、医療などが含まれるようになった。
中国は経済発展のモデルチェンジの重要な時期に差し掛かっており、国内環境の発展が対外直接投資に良い契機をもたらしている。人民元相場の変動、および中国の人件費、土地、企業の合法的な経営などのコスト高騰は、中国企業のM&Aなどによる海外進出、海外資源の活用、高収益投資プロジェクトの模索を促している。また経済面の実力強化に伴い、中国の国有・民間企業の国際競争力が大幅に強化され、国際化経営の意欲と能力が高まっている。政策面から見ると、中国政府はすでに、市場が資源配置の中で決定的な力を発揮しなければならないと表明している。これは企業の対外投資に対して、より大きな自主権と便宜をもたらした。中国政府はこれと同時に対外投資の管理体制改革を積極的に進めており、行政審査・手続きを簡略化し、人民元の域外直接投資の利便性を高め続けている。
外部環境は、中国企業の海外進出の重要な契機を示している。まず国際金融危機の発生後、雇用促進は米国政府が解決すべき最優先の課題となった。オバマ政権は外資吸収により雇用機会を創出しようとしており、中国系企業の米国市場進出に有利な条件を提供している。中国の対米投資は、確かに「ウィンウィン」の局面を形成している。中国企業は2013年末までに、米国に7万人以上の雇用機会を提供し、多くの米国人従業員を受け入れた。次に、米国は「再工業化」を本国の競争力を再構築する重要な戦略として位置づけている。米政府は経営環境の改善により投資を引きつけようとしており、中国のハイエンド製造業への投資拡大に幅広いチャンスを提供した。対米投資の拡大により、中国系企業は米国企業の技術、人材、グローバルネットワークなどの先進的な要素を活用し、自社の投資収益を拡大し、世界産業チェーンの経営力を強化し、国際分業体制の中での地位を高めることができる。さらに、対米投資は中国企業の研究開発・設計などの産業チェーンの川上への飛躍にとって有利で、その一方で物流や小売などの川下への延長が可能だ。これにより米国の消費者に近づき、米国市場の開拓が促される。
中国の対外投資、特に対米投資の急成長には、内在的な合理性が存在する。米国は将来的に、世界最大の成熟した市場、最先端の技術、最も高い研究開発能力などの強みにより、より多くの中国の投資家を引きつけるだろう。インフラ、エネルギー、ミドル・ハイエンド製造業、不動産などが、最も投資の潜在力を秘めた業界になる。(編集YF)
「人民網日本語版」2014年3月18日