中国は笑いに飢えている?チャウ・シンチー新作がメガヒット
日本でも「少年サッカー」(2001年)や「カンフーハッスル」(2004年)などで知られる香港の映画俳優チャウ・シンチーが監督に専念した4年ぶりの新作「西遊降魔篇」が中国大陸部で10日の封切り以降、大ヒットを記録している。
同作は10日に初日興行収入記録、14日に1日興行収入記録を塗り替える爆発的スタートを切った後、公開15日目の25日には10億元(約150億円)に迫る興行収入を挙げた。昨年12月12日の公開以来、中国語映画の興収記録を更新し続けているメガヒットコメディー「泰◆」(Lost in Thailand)の13億元(約195億円)を猛追しており、この勢いなら追い抜くのも時間の問題となってきた。
■孫悟空を魔物として描いたシンチー新作「西遊」 ファミリー層や若年層を呼び込む
チャウ・シンチーの新作は、自ら主演・監督を務めてヒットした1995年の「チャイニーズ・オデッセイ」シリーズから18年ぶりに新たに西遊記をモチーフに描いたCG大作だ。といっても、以前の「チャイニーズ・オデッセイ」と一線を画しているのは、今回は孫悟空よりも三蔵法師のエピソードに重点が置かれ、孫悟空を英雄としてではなく、魔物の一種として描いている点だ。また、魔物を追い払う降魔師(ごうまし)の女性に中国でも人気の高い中国台湾の女優スー・チー(舒淇)を迎え、前作同様、人々の心を打つ新たな愛が描かれている。
また、今回のヒット要因のひとつには、中国では老若男女が愛する西遊記をモチーフにした映画という強みに加え、ホラー的な魔物色を強く打ち出したことで、18年前の「チャイニーズ・オデッセイ」を懐かしむ中年層や映画ファン以外に、多くのファミリー層や若者も引き付けた点だ。実際に、多くの子供連れの家族が映画館に訪れ、映画に登場する魔物に驚いて泣き出す子供が多発するというニュースも伝えられた。