湖北省武漢市にある武漢紡績大学が17日に明らかにしたところによると、同大の王棟教授のチームは2年間の研究を経て、初めて熱電繊維(電源)とバイオセンシング繊維(センサー)を有機的に融合させ、人体と外界の温度差により発電し、ブドウ糖センサーを作動させることに成功した。これによりスマートウェアラブルテキスタイル(織物)による「ワンストップ」のセンシングサービスを実現した。長江日報が伝えた。
武漢市の専門家が研究開発した熱電とセンサーを一体化させた柔軟性を備えた織物のサンプル(撮影・胡義華)。
チームの主要メンバーの一人である武漢紡績大学の李沐芳教授は、「スマートウェアラブルテキスタイルを身に着けることで、人体の生理学的データをモニタリングする研究は、一般社会においてすでに珍しいものではなくなっている。しかしセンサーを作動させる電源は、その大半が電源に挿すかバッテリーを取り付けることで電力を供給している。これは見た目も悪く、持ち運びにも不便だ。私たちは発電できる柔軟性を備えた織物を材料にできないだろうかと考えた」と説明した。
李教授と卿星博士は2年前の学際的学科会議で、この問題について踏み込んだ意見交換を行った。卿博士の研究分野は、繊維ベースの有機電気化学トランジスターバイオセンサーだ。李教授は、「チームのメンバーは人体と外界の環境の温度差を利用することでエネルギーを提供して発電できないかと考えた。熱電テキスタイルは温度差の効果を利用しバイオセンサーにエネルギーを持続的に提供する。人体と環境の温度差は大きくないが、卿博士が研究する繊維ベースの有機電気化学トランジスターバイオセンサーは電圧が低く、信号の増幅効率が高いことから、微小の生理学的信号の変化を顕著な電気信号の変化に変換できる」としている。
人体は恒温で、通常ならば人体と外界の環境の温度差は2.2度となる。その正確性を検証し、例外が生じることを避けるため、チームはさらに10数人の学生を被験者とした。熱電とセンサーを一体化させたスマートウェアラブルテキスタイルを学生たちの手に装着させたところ、温度差が一致した。卿博士は、「男性と女性、座った時と立った時の試験を行ったところ、我々の判断と一致する結果となった」としている。
このスマートウェアラブルテキスタイルは現在、汗を測定することで血糖に関わる一部のデータを提供することを実現している。李教授は、将来的に血中脂質や高血圧など人体のその他の一部のデータも、このスマートウェアラブルテキスタイルによって測定できるようになるという大胆な構想を立てている。またブルートゥースでスマートフォンにつなげることで、健康データをリアルタイムでチェックし、健康への早期警戒の役割を果たせるとしている。(編集YF)
「人民網日本語版」2023年5月23日