在中日本企業への中米貿易摩擦の影響限定的 事業拡大意向再び高まる

人民網日本語版 2019年06月21日09:49
在中日本企業への中米貿易摩擦の影響限定的 事業拡大意向再び高まる

中国日本商会が取りまとめた「中国経済と日本企業2019年白書」が19日、北京で発表された。白書によると、日本の対中投資実行額は2年連続の増加となった。2018年、70%以上の日本企業が中国で黒字となり、事業展開の方向性について経営規模拡大の意向を持つ在中国日本企業の数は増加傾向にある。一方で企業経営上の最大の問題点は依然として「従業員の賃金上昇」だった。人民網が伝えた。

中国日本商会の小野元生会長の説明によると、2018年の日本の対中投資実行額は前年比16.5%増の38億1千万ドルとなり、前年から2ケタの伸びとなった。全世界からの対中投資実行額は前年比3.0%増の1349億7千万ドルとなり、前年に引き続き過去最高を更新した。

白書の調査結果によると、2018年度の営業利益(見込み)について「黒字」と回答した在中国日系企業の割合は前年度比1.4ポイント増の71.7%となり、2017年に続き70%を超える水準を維持した。

日本企業の今後1-2年の事業展開の方向性についての調査では、「拡大」と回答した企業の割合は48.7%、「現状維持」と回答した企業の割合が44.8%となっている。注目すべきは、日本企業の中国における事業拡大の意向が2015年度は1998年の調査開始以来初めて40%を下回って38.1%となったものの、そこから増加に転じていることだ。

中国における事業を「拡大」すると回答した日本企業のうち、59.5% は「販売業務」を拡大、37.4% は「(高付加価値品の)生産」を拡大すると回答した。このことから、中国で製造・消費の高度化が進展するなか、優れた商品や技術、ノウハウなどを提供しようと日本企業が市場開拓を強化している様子がうかがえる。

このほか、経営面では、75.7%の日系企業が経営上の課題として「従業員の賃金上昇」と回答(複数回答)し、2017年調査比で0.4ポイント微増し、引き続き最大の経営課題となった。また53.5%の企業が「調達コストの上昇」と回答した。

小野会長は、「人件費の上昇など投資環境の変化はあるものの、日本企業が中国を世界有数の巨大市場と捉えていることに変わりはなく、内販型の企業・業種を中心に日本企業は中国市場を引き続き重視していく」と述べた。

このところ、中米貿易摩擦が世界で広く注目される焦点となっている。白書の発表会でも複数の記者がこの問題について質問した。これに対して小野会長は、「世界の国々のなかには、自由貿易を推進したい国もあれば、一部には保護主義的なことを考えている国も見受けられる。原則はグローバルスタンダードで、地球全体が自由貿易体制をしかりと堅持していく形で全部のビジネスが展開されていくのが一番望ましい。中米経済は切り離して発展することはできないほど、双方の経済が複雑に協力し合う関係にある。例えばテスラが上海で工場を作るなど、中国の市場を期待しての米国企業の対中投資が行われている。こういった協力関係は今後も断続的に続くと思う」との見方を示した。

中米貿易摩擦は日本企業にどのような影響を与えているのか?小野会長は、直接的な影響は限定的であり、将来的な影響については観察が必要だと指摘。さらに、「在中国日本企業の現地調達率は非常に高く、66.3%に達しているが、米国からの調達率は5%以下である。しかも在中国日本企業の対米輸出率は低く、2018年にはわずか5.9%だった。したがって、この点だけを見ると、直接的な影響は限定的という見方もできる。ただ、米国向けの輸出企業、例えば中国のメーカーに対する日系のサプライヤーは影響を受ける恐れがある」と述べた。

さらに小野会長は「現在はこのような状況だが、長期的に見れば中国の需要は非常に旺盛だ。米中貿易問題が早期に解決することを期待している」と語った。

「中国経済と日本企業白書」は2010年から出版・発行されており、2019年版白書は中国日本商会および中国各地の商工会組織の日系企業8765社が直面している課題を分析し、中国ビジネスの第一線で活躍する中国の日本商会会員企業社員約50人によって執筆された。内容は「中国経済と日本企業の現状」、「共通課題・提案」、「各産業の現状・提案」、「各地域の現状・提案」の4部に分かれ、全27章、470項目の提案からなっている。(編集AK)

「人民網日本語版」2019年6月21日 

  

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