中国の山水画の技法で童話の世界のように美しいアルプス山脈を描き、北欧の古い文字と中国の文字や山水と人物を巧みに組み合わせた作品の数々。先ごろ、広西芸術学院で2016年度入学で修士課程で学ぶカナダ人留学生のクラウディオ・ダニエーレ・ルッキ(中国語名は易柏霖)さんは、広西壮(チワン)族自治区南寧市で行われた卒業制作個展「倒影」で7年間の学習成果を披露した。人民網が伝えた。
ルッキさんは2016年にも学部卒業制作個展「清風」を行ったことがあり、南寧で卒業作品展を開催するのはこれが2度目となる。
ルッキさんはドイツのミュンヘンで生まれ、1998年に家族とともにカナダに移住した。中学時代、ルッキさんは哲学に強い興味を持ち、書籍を通じて中国古代哲学の大まかな知識を学んだ後、東洋の文化を探求し始めた。高校卒業後、伝統的な中国画を偶然目にしたルッキさんは、その絵に中国の伝統文化と哲学思想が包含されていると感じ、探求したいという強い願望を抱くようになった。2012年8月、父親の励ましとサポートを受けて、ルッキさんは1人で南寧市に向かい、中国文化に対する強い愛を胸に広西芸術学院で中国の山水画を学び始めた。
中国に留学してから7年間、ルッキさんは一度も帰国せず、冬休みも夏休みも大学で過ごした。絵の題材探しに出かける以外、ルッキさんはほとんどの時間を読書と絵を描くことに注いだ。中国画の基本技法をマスターすると、ルッキさんは中国画に西洋の要素を取り入れることを試み始めた。修士課程に在学中、ルッキさんの指導教授である王雪峰教授は「東洋と西洋の文化の中国山水画における表現を研究し、異文化の対話の中で創作・思考することで自己を発見し、自己を認識することを試してみてはどうか」と提案し、「世界山水」を描くようアドバイスした。
現在では、ルッキさんは中国語を話し、中国画を描き、中国哲学を論じる。彼は中国画で故郷の景色を描き、故郷の精神文化を探求し、人類と自然、人類と宇宙の関係を思索している。彼の作品には中国画の巻物の精髄のほかにも、日本の屏風絵の絵画様式も取り入れられ、大量の中国と西洋の要素が表現されており、スタイルが独特で、見るものに極めて大きなインパクトを与える。
ルッキさんの7年間の学習成果は著しく、彼の書画作品は何度も受賞し、異文化交流や美術展に招待されて出品された。「ルッキさんの中国画技術はすでにある程度の技量に達しており、外国人として高く評価できる。彼が描く人物はその造型から色彩に至るまで鮮明な西洋的特徴を持っており、それらの人物と中国画との融合は私たちにとって新鮮に感じられる」と広西芸術学院中国画学院副院長の王鋭教授は語る。ルッキさんは現在、中国の美術大学でトップクラスである中国美術学院(杭州)の博士課程入学通知を受け取っており、中国の一流芸術大学の博士課程に初めて合格した広西芸術学院の留学生となった。ルッキさんはほどなく杭州に赴き、自らの「中国画の夢」をかなえるための道を歩み続けていくことだろう。(編集AK)
「人民網日本語版」2019年6月19日