広東省人民政府、香港特別行政区政府および澳門特別行政区政府の三地域の政府が合同で開く「粤港澳大湾区シンポジウム」が9日、東京の帝国ホテルで行われ、程永華・駐日本中国大使、林鄭月娥・香港特区行政長官、馬興瑞・広東省省長、蔡冠深・広東香港澳門大湾区企業家連盟主席(香港中華総商会会長)ら約1000人が出席した。人民網が伝えた。
程永華大使は開会の挨拶で、「中国は粤港澳大湾区の計画を打ち出しており、このエリアを世界レベルにすることを考えている。同エリアは新しい時代に向かって発展を進める地域であり、中国の発展の起点にもなっている。今後、中国の政策の下で、この地域の様々な優れた条件を利用し、発展させていき、同エリアが中国の新しいエンジンとなることを期待している」と述べた。
林鄭月娥・行政長官は基調講演の中で、「大湾区は中国の重要な地域の一部をカバーしており、GDPは約1.6兆ドルで、中国全体の約12%も占めている。人口や面積、空港貨物取扱量などにおいて、他のベイエリアに比べて高く、最大のベイエリアであるといえる。GDPにおいては東京やニューヨークのベイエリアより下回るものの、急成長を遂げてきているため、今後追い付くことになるとみられている。また、香港地区は『国際的な金融センター』、『国際的な航空ハブ』、『世界で最も自由な経済』などの特徴を備え、それらの分野における競争優位性を有している」と語った。
馬興瑞省長は「粤港澳大湾区の新たな発展の契機を共有」と題した基調講演を行い、日本との協力・交流を強化することを目的として、先進製造業、科学技術革新、交通計画、社会国民生活の4つの分野における提案について語った。
陳海帆・澳門特別行政区政務法務長官は基調講演の中で、「粤港澳大湾区の建設において、世界的に有名なベイエリアの経験から学ばなければいけない。また、この大湾区の建設により、『一国二制度』の新たな実践が促進され、外国企業に無限のビジネスチャンスを提供できるようになる」と語った。
蔡冠深・広東香港澳門大湾区企業家連盟主席は挨拶の中で、「粤港澳大湾区はすでに世界クラスのハイテク企業の本拠地となっており、このダイナミックなハイテク企業、広東の進んだ製造業などの強みが結びつき、同大湾区の都市としての強みを強化している。また、東京ベイエリアとは密接な関係にあり、同大湾区には多くの日本人が住んでいる。東京ベイエリアでは製造業や金融などの分野において産業が発達している。東京ベイエリアの経験は非常に参考になるため、中日は第三国とともに経済発展の役割を果たしていくことだろう」と述べた。
メインシンポジウムでは、中国の発展および開放における大湾区の戦略的重要性、また、中国でのビジネスチャンスを掴むためには、日本企業にとって大湾区がいかに重要なエリアであるかということをテーマとしてパネルディスカッションが行われた。
午後の分科会では、大湾区で将来大きく発展することが見込まれる「イノベーション&テクノロジー」と「スマートヘルス」の2つのテーマに分かれてパネルディスカッションが行われた。
今回のシンポジウムは、大湾区計画綱要が発表されてから初の海外での開催となった。三地域の政府が合同で大湾区の魅力や優位性について紹介し、日本と大湾区双方のスピーカーが、大湾区の優位性に関する洞察や新たなビジネスチャンス、さらには日本と大湾区間の協力関係の重要性について語り合った。(文・木村雄太)
「人民網日本語版」2019年4月12日