総体的に見た場合、日本の観客は中国映画のことをあまり知らない。日本映画製作者連盟がまとめたデータによれば、2017年に日本で上映された中国映画はわずか8本だったという。雑誌「環球」が伝えた。
佐藤康弘さんは2013年の上海国際映画祭の日本映画ウィークで運営を手がけた。「普通の日本人も知っているような中国映画は実に少なく、一部の映画ファンなら陳凱歌(チェン・カイコー)や張芸謀(チャン・イーモウ)の名前を挙げられるくらい。これには2つの原因があり、1つは日本が買い付ける海外映画が減少していること、もう1つは日本の観客は映画の質に対する要求水準が高いことだ。現在日本が買い付ける海外映画の数は、邦画の本数(594本)と大差ない。またこれまで日本では華やかなハリウッド映画ばかりが好まれていたが、近年は中身のない大作が増えたため、日本の映画ファンはハリウッド映画を見なくなり始めている」という。
では日本で中国映画がもっと受け入れられるようにするにはどうすればよいかという点について佐藤さんは、「中国映画の中身と技術レベルの向上を基礎として、日中合作の作品を増やすことだ。これには日本の原作の映画化や共同製作も含まれる」との見方を示した。
佐藤さんは、「まずなんといっても内容と技術であり、監督の知名度も大きく影響する。1990年から現在まで、張芸謀や陳凱歌の作品は基本的にすべて日本で上映されており、特に『紅いコーリャン』や『さらば、わが愛/覇王別姫』などの名作は、日本で中国映画ファンを増やした。しかし2000年以降、中国映画は巨額の制作費を投入し、めまぐるしく展開する作品が多くなり、日本の映画ファンは徐々に遠ざかっていった。日本の映画ファンが求めているのは表面的な内容ではなく、内容の深さだ。巨額の投資が行われた映画でも、内容が薄っぺらだと、共鳴を呼ぶことは難しく、日本の映画ファンもすごいとは感じるだろうが、見ようとはしない。日本の映画ファンは監督で見るという人が多く、役者ではない。そこで中国映画の日本での知名度を高めるには、監督カードを切ることが重要になる」と述べた。
佐藤さんは続けて、「日本のベストセラー作品を映画化したり、共同製作を増やしたりするのは、中国映画の日本での認知度を高めるための現実的な道だといえる。日本の映画界も中国市場に注目している。なぜなら日本の俳優のギャラは中国の俳優ほど高くないからだ。中国が日本で人気が出る映画を制作しようとするなら、国際合作によって新風を吹き込むことが考えられる。2017年に東京映画祭でオープニングを飾った陳凱歌監督の中日合作作品「空海―KU‐KAI―」(中国題名:妖猫伝)は、中日両国で高い評価と興行収入を獲得し、両国の巨大な映画市場への挑戦に成功した模範例となった。ここ数年は日本の俳優が中国の監督に呼ばれるケースも増え、浅野忠信やオダギリジョーなどが中国映画に出演した。ただ残念なことにこうした作品は日本で上映されていないので、日本人はこのことを知らない。また最近の日本ではベストセラー書籍の映画化が特に歓迎されており、中国映画が日本市場に照準を合わせるなら、日本のベストセラーの映画化を視野に入れるべきだ」と述べた。
佐藤さんは、「中国映画の日本での認知度が高まれば、両国国民の相互理解の増進に大きなメリットがある。全体としていえるのは、日本人が中国について知っていることはまだ非常に少ないということだ。中国が巨大な市場であることはしょっちゅう耳にするが、実際に中国とどのようにつきあうかは、よくわかっていない。私は中国映画を見ることが近道であり、よい方法だと思う。一連の映画は中国人の本当の暮らしを描いており、たくさん見ればごく自然に隣国の真実の姿を徐々に知ることができる」との見方を示した。(編集KS)
「人民網日本語版」2019年5月17日