中国の貧困者支援は世界の注目する成果を挙げた。貧困人口は6年間で8000万人余り減少し、2020年までに全面的な貧困脱却を実現するという目標に近づいている。今年の全国両会(全国人民代表大会・全国人民政治協商会議)で農村の代表らが語る貧困脱却のストーリーからは中国で大規模に展開されている貧困脱却の「成功の秘訣」をうかがい知ることができる。人民日報が伝えた。
■ストーリーその1 黄桃の「売り子」はネット通販
光明村の黄桃は「全国の特色ある農産物販売網」に組み込まれた。羅文婷撮影(影像中国より)
農村でのネット通販の発展は容易なことではない。農民はネット通販に必要なノウハウ、技術、営業能力を欠くことが多く、競争の激しいネット通販市場で消費者の注目を得るのは難しい。だが郭小芹代表の住む桂東県漚江鎮光明村は、特産品の黄桃のネット通販によってかなりの経済収益を得ることに成功した。村の協同組合に加入する黄桃生産農家数10世帯の1世帯当たり純収入は昨年、平均2~3万元に達した。これはどうやって可能になったのだろうか。
実は政府が誘導する形で、県内の大手ネット通販業者2社が村外で積極的に注文を取り付け、村で一括して買い上げることで、ネット通販の営業における村民の難題の解決を手助けしたのだ。また、村内にネット通販サービスステーションを設置して、ターゲットをしぼった情報を対外発信。村の黄桃は「全国の特色ある農産物販売網」に組み込まれ、販売ルートがさらに拡大した。
郭氏は、今後は政策的支援が素質ある若者のUターン起業を後押しし、農村の物流配送システムが改善され、ネット通販が後押しする形で農村産業はさらなる向上の余地を得ると信じている。
■ストーリーその2 山奥の観光リゾート
2017年末に車谷砣村へ通じる道路が竣工し、観光業の発展につながった。(資料写真)
陳春芳代表は河北省霊寿県南営郷車谷砣村の党支部書記だ。車谷砣村は太行山の山奥に位置する。山は高く道は遠く、土地は痩せており、経済発展は立ち後れていた。2011年、陳氏は村民を率いて山を開き、道をつくり、農家院(農村家屋を利用した宿泊・レストラン施設)と栽培・飼育事業を手がけて、ついに3年後、村全体の貧困脱却を実現した。
2014年に始まった「北京市・天津市・河北省の協同発展」戦略は河北省の農村に一層の発展のチャンスをもたらした。地域の交通設備は整い、北京市・天津市・河北省の市民による周辺農村観光は一層便利になった。車谷砣村も観光産業を発展させ、村民の平均年収は昨年末に7000元を突破した。
だが、これではまだまだ不十分だ。2018年末に太行山高速道路が開通し、インターチェンジから車谷砣村までは車で30分足らずとなった。車谷砣村は近隣4村と共に21億5000万元を投資して「中国・車谷砣エコツーリズムリゾートエリアプロジェクト」を立ち上げ、各村を所得増加へと導いた。
■ストーリーその3 農民から優れた職人へ
東興村の衣料品工場。(資料写真)
2018年末に遼寧省昌図県亮中橋鎮東興村の党総支部書記を務める呉艶良代表は長年準備してきた衣料品工場をついに立ち上げた。明るい作業場、専門の生産ライン設備、科学的な管理制度、透明な配置システムによって、有名アパレルブランド複数のOEMを手がけ、現地及び周辺の農民100人以上の雇用につなげた。
村民は村外出身のデザイナーの指導を受け、裁縫、機械のメンテナンス、貨物輸送などを学んでいる。体に障害のある人々も自らに適したポストを得ることができる。「農民から優れた職人へ。産業を通じた貧困者支援は村民の地位だけでなく、精神面も変えた」と呉氏は語った。(編集NA)
「人民網日本語版」2019年3月13日